HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。
第22回のお相手は、小川卓主宰の提案型ウェブアナリスト育成講座第7期卒業生で株式会社KDDIエボルバ の宮川夕希氏。全3回でお届けします。
第3回 ウェブディレクターのキャリアトーク
前々回では飲食業界からキャリアチェンジしてウェブ業界で活躍するようになった宮川さんのこれまでのキャリアについて、前回は宮川さんが提案型ウェブアナリスト育成講座を受けた感想や今のお仕事にどのように活かせていたかの学びなどを話しました。最終回となる今回は、現在ウェブディレクターとして活躍する宮川さんのキャリアをめぐり、ざっくばらんに話しました。
※本対談は2022年10月に行われました。
対談のお相手
宮川夕希
みやがわゆき
株式会社KDDIエボルバ
経営戦略本部 経営戦略部 Web戦略グループリーダー
宮川 夕希 氏
新卒で飲食業界に入った後、ウェブ業界へ転身。大手企業のウェブディレクターで経験を積んだ後、現職へ。自社メディアの戦略策定・運営を担う。提案型ウェブアナリスト第7期卒業生。
進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報の井水(イミトモ)が務めます。
目次
ウェブ立ち上げからマネジメントへ
今はどんな体制でお仕事をしているんですか?
私の部署はコロナ禍ということでリモートワークが比較的多いですね。ウェブ戦略の部にいるんですが、私が入った時はその部がなくて私が第1号で、そこから人数が増えて部ができました。
第1号だったんですね!
第1号で入社した時は本当に何もなくて、担当案件のサーバーをリプレイスするところからスタートしました。解析を入れたり、そもそもプロジェクトマネジメントツールがないからBacklogを入れたり。最初は大変でしたね。
自分しかいないんだもんね。
自分がやるしかないと。今は相談する仲間が増えて、割と居心地も良くなってきています。逆に居心地が良すぎるとゆでガエルになっちゃうなと思っていて。
えらい!危機感があるね。
外部の講座に行ったり、外部の人と交わったりしないと。
基本はリモートになったということだけど、働き方って変わりました?
働き方はそんなに変わらなくて、体が楽になったかなと。
移動がね?
そうです。
今ってチームをマネジメントする立場ですか?
チームに何名かいて、GAやGTMやサーチコンソールを使って、企画を立案して・・というのをチームの中で指導・取りまとめている感じですね。
教える・質問を受けるのって、オンラインだと個人的に難しいなと思うこともあるんですけど、リモートワークでのやりづらさはありませんか?
画面共有をしながらなので、そんなにないかなと。メンバーが入って少ししてからコロナになったので。人によっては、GAやGTMよりは改善提案のほうが好きという人もいるので、全部は無理ですができるだけ本人の適正に合わせるよう心掛けています。やはりウェブディレクターって対応範囲が広いので、制作のこともGA・GTM・サーチコンソールのことも知らないといけないし、なかなか全員にそれを求めるのは難しいかなと思いますね。だからこそメンバーの強みに合わせてまわせるようにならないとなと。最近はコーチングを勉強しないといけないかなとか思っています。
私は全然そっちのタイプじゃなかったかな。上司になれないタイプというか、自分で手を動かして分析したいので、メンバーを見るみたいなのは講座ではやるけど、社内にフィードバックして評価してというやらないかな。
小川さんはslackでもほぼ指示がないですよね。
信頼されているんですね。
いやー、信頼が築かれる前からだったので、最初は特にそわそわしました。小川さんってどう思っているのかな?と。
そういうの、よく言われる(笑)だから上司向きではないかなと。
えぇ!?先生はとても面倒見がいいのに!この間もslackで質問した時にすぐに返信していただいて、ありがたやと思っていました!
そういうのは全然苦じゃないですよね。でも上司として面倒を見るとかなると色々考え過ぎちゃうんだよね。心配だなとか・・逆に気にしすぎちゃうと思っていて。・・・わからないけどね、やってみないと(笑)
一同:(笑)
提案型ウェブアナリスト育成講座の運営をしている福田さんや秘書の工藤さんは業務委託?
そうです、井水さんも業務委託ですしね。
はい。
宮川さんはマネジメントしていて向いているなぁとかあります?
店長時代もマネジメントをやってきたので、向いていないとは思っていないですけど、向いているとも思っていないですね。
ということは、マネジメントでは苦労してないということ?すごい。
まったく苦労してないと言えば嘘になりますが(笑)みんな優秀だなというのは感じています。ただ、この間同期会でも話していたんですけど、この年齢で一体何に向いているのかわからないなぁと(笑)
自分のことは自分でわからないってやつですね。
できてはいるけど、向いているかわからないんですね。
ウェブは好きだなって思うんですけどね。
ウェブのどこに楽しさを感じます?
結果がはっきりわかるところとか、自分の成長がわかるところというのは魅力的だなと。地元や九州に住んでいると公務員か銀行員か、病院かAEONで働くか、 ・・・しかなかったので、こういうスキルがつけば色んなことができるというのは楽しいなと思いますね。
特にウェブは進化が早いよね~。私もウェブは可視化ができるっていうのは好きだな。GAのユーザーエクスプローラーもまさにそうで、「ほ~ここに5分もいて何をしていたんだろう」とか思うのも楽しいし、おっしゃる通り、やったことが数字に反映されると、お客さんが満足してくれたとか、見てくれたとか、ビジネスの成果につながったとかだとうれしいですよね。
ウェブディレクターの今後のキャリアと独立
今後どうしたいっていうのはあるの?独立願望はある?
独立願望がないといったら嘘になりますけど、同期の川俣さんならコンテンツに強いとかありますけど、これという強みがあるわけでもないんですよね。
逆にディレクターは何でもできるのが強みだと思うけどね。SEOの会社とかじゃなくて一通りできるっていうのはいいですよね。
ウェブディレクターはジェネラリスト的な部分があって、一方、デザイナー、コーダー、アナリスト、SEOコンサルタントはスペシャリストだと思うんですよね。スペシャリストとつなげるのがディレクターの強みなのかなと。
うん、だから全部できなかったとしても、そのポイントがわかったり、できる人を連れてこられたり。お客さんの状態を見たときに、さっきのDMAICでいえば、Define(定義)ができていない状態なのか、Measure(計測)ができていない状態なのか、Analysis(分析)ができていない状態なのか、Improve(施策)が動いていない状態なのかを見極めて、そこに必要なエンジニアをつれてくるとか、まさにディレクションですよね。
過去に小川さんと話した砂子さんや川俣さんのインタビュー記事を読んでいると、二人とも独立したときの思い切りが良すぎて驚きましたね。特に砂子さんは何の知識もないのにやっちゃいましたとかすごいですよね。
彼の勢いはすごいですよね!
そうだよね。そのパターンもありだし、私の時は全然そうじゃなくて、副業して、会社を辞めて、スムーズに起業したパターンですね。今って副業できるんだっけ?
今の会社は副業NGですね。
そっかー。副業ができたらちょっとしたきっかけとか自信につながるかもしれないけどね。
私はウェブディレクターで独立したんですけど、ウェブディレクターで独立って難しいなと思いました。最初はデザイナーもコーダーもいなかったから、自分がウェブディレクターとしての動きをできないんですよね。でもチームを作って初めて自分がウェブディレクターとして動けるんだなというのは実感しましたね。
ウェブディレクターってそこが独特だよね。クライアントさんの方にそういうメンバーがいて、外から入りつつ半常駐みたいなやり方だったらできるかもしれないしね。
あとはおっしゃる通りチームを組まないとできないから、そういったつながりは作っておいて、いざSEOの手が必要となった時に卒業生のあの人にSEOを頼もうってできるといいよね。
そうですね。
あとはウェブディレクターとしての価値をどこに見いだしていくかって難しいなと。ウェブサイトの成果物ってデザイナーのデザインだったりコーダーのコーディングだったり、アナリストの運営だったりするわけですけど、ウェブディレクターの成果物は何?ってなると、そこはウェブ戦略とか、ウェブサイトの成長そのものなのかなと。
それをちゃんと回すっていうところだよね。サイトリリースに向けてクライアントさんとユーザーさんの利害が一致しないこともあるのでそれをしっかり調整してリリースするというところが最初のゴールだし、その後の運用改善もビジネスもユーザーも見ながら双方の満足度を高めていかないといけない。数字もあるからそれに責任も出てくる。複数の手法がある場合はどれを選んでいくか。たとえば今リスティングをやるべきなのかどうなのか。サイト内改善や決裁方法を増やす等の施策はどうなのか。そこの優先順位を見極めて、クライアントを説得して動かせる力が必要だよね。
プレゼン力とか折衝力とかもですよね。
ウェブディレクターは総合格闘技のような気がしますね。
総合格闘技!そうですね~
あとはサイトの規模にもよりますよね。1~2人でやっているようなサイトのウェブディレクションか、数十人でやっているようなサイトのウェブディレクションかにもよるよね。大企業のウェブディレクションとなると外からやるのは難しかったりしますね。熊本に戻るのかわからないけど、地元企業のサイトをやるというのもあるよね。まぁ、そうは言っても今の会社に不満があるわけじゃないだろうから、すぐにどうというわけじゃないと思うけど。
不満があるというわけじゃないですけど、もっと成長していきたいっていう思いがあるので、今後どうしていったらというのは考えますね。会社でもっと上を目指すのか、独立するのか、正直なところ今は全然イメージがついていない状態です。
転職して今までやったことのないECをしたいとか願望はあるの?
ないかなと。
入ってみたい会社とかは?
一回、外資系の仕事に携わってみたいなというのは少しありますね。
外資はいいと思いますよ、最低限の英語はいりますが。
どうして外資に携わってみたいと?
以前、常駐していた会社が日本法人だけどグローバル企業で、そこの外資チームにいたんで、ものの見方とか回し方が日本とは違うなと思っていたのと、世の中の動きを見ているといつかそういうのが必要になるなと感じていたので、いいなと。ただ、それには英語の勉強もしないといけないなと。先生は英語がペラペラですよね?
親の仕事の転勤で小学校~大学はほとんど海外で、大学院だけ日本だったので、英語は学んでいないんだよね。みなさんが日本語を学んでいないのと同じように。大学受験も英語だったし、外資系のマイクロソフト・アマゾンにいたので。
小川さんの転職の仕方も合理的ですよね。
分析やりたくて最初はBtoCのウェブマネーに行って、その後BtoBtoCのリクルートに行って、スマホをやりたくてサイバーエージェントに行って、ECやりたくてアマゾンに行った感じですね。
すごいですね。
自分の領域を着実に増やしていますよね。
分析で一通りやってみたいというのがあって、スマホならサブスクよりだし、ゲームなら課金だし、アプリなら利用料だったり、施策が売上に直接反映されるというのが面白くて。
だからこそ分析するかいもありますよね。
スマホはスピード感が早くて、施策はどんどんやりましね。翌日には反映というスピードでやっていました。
今後、何したい?
小川さんが今後していきたいことって何ですか?
一社にひとり、ウェブアナリストがいるっていうのが私のしたいことですね。スカイツリーに上って上から見た時に、どの会社にもウェブアナリストがいるんだろうなって思えたらうれしいなという感じですね。会社に経理が一人いるように、当たり前のようにウェブのアナリストがいたらいいなと思っています。
素晴らしい!
それで私が使うウェブサイトがいいものになってほしいと思うんだけど、私ひとりではそれができないから、ライトなところで本を出して、講座をして、裾野を広げつつ、中級者以上の方には提案型ウェブアナリスト育成講座で育成して、みんなが頑張ったり頑張らなかったりして、1万人に教えたらもしかしたら3人くらいはやってくれるかもなとか50人くらいは業務をしてくれるかもしれないかもって考えるとシンプルなんだよね。
今の達成度合いはどれくらいですか?
今ウェブ解析士協会が数万人なので、ウェブアナリストの市場って5~10万人くらいなのかなと思ってます。
それでも10年前からみると増えましたよね。
やはりGoogleアナリティクスが無料で使えるというのは大きいですよね。上場企業の8割のサイトにはいっていて、あとは地方企業や中小企業をどうしていくかですよね。どうしても課題は集客なのでサイトに入ってくる手前の部分だし、Googleアナリティクスよりも広告・ソーシャル・SEOが強い領域ですよね。サイト解析はサイト内寄りではあるので。そのあたりをみんなで協力しながらやっていくしかないなと思うんですよね。たまたま私は分析が好きだったからそれだったし、もしも別の人生でサービスを作るのが好きだったらそっちにいっていたかもしれない。ウェブサイトが使いやすくなる何かを作っていたんだろうし、アプリだったのかもしれないし。今の自分で分析をやりつつ教えるというのが、結果的に一番向いていたというだけのことなんだよね。
自分のスキルセットとして、分析・英語・人前で話すのが得意というベン図の中でこうなった感じ。
そのベン図をどうやって描いていくかですね。
3つかけ合わせると、自分の強みになると思うんですよね。
そこが難しいんですが・・・ウェブディレクションと分析を強めていきたいなと。
あとはそこに英語をつっこむとかね。
その最後の一個が悩みますね。井水さんは何ですか?
ぼんやりと思っているのは、これまでウェブディレクションとコンテンツ制作を軸にやってきていて、3つ目の軸はやっぱりアナリティカルシンキングなのかなって思っています。自分がやってきた案件で年商数千万円から数億・数十億円・・と会社が成長するところを手伝うのが楽しくて、これからもやっていければと。
個人的にはサイト分析とは別枠で、今後はアナリティカルシンキングそのものを広める活動もしていきたいですね。「ロジカルシンキング」や「クリティカルシンキング」、「デザインシンキング」という思考法のセミナーや講座は充実しているんですけど、「アナリティカルシンキング」を教えているところはあまり見かけないなと。ロジカルシンキングと言いつつデータ分析に基づいていないことは日本のビジネス業界でよくあると思っていて、社長ドリブンとか直感ドリブンが存在してしまっている。でも、アナリティカルシンキングが広まることでデータドリブンな意思決定をできる人や会社が少しでも増えたらちょっと世界がよくなるのかなと思っています。そのためには幅広く、たとえば大人だけでなく、子ども向けに、「10歳からの分析」というブログを書いたり、子ども相手に分析を体験できるワークで普及活動をしたりというのをしてみたいですね。まだ言っているだけですけど。
子供に教えるのはいいよね。私もデジハリの客員教授を6年間やってきたから、それもありだよなと思うよね。情報発信ができて、それがやがて教育コンテンツになっていくわけだし。
ちょっと子どもの話になるんですけど、最近、子どもによく遊ばれているゲームでMinecraft(通称:マイクラ)というゲームがあるんですよ。グローバルで一番遊ばれているゲームにもなっているんですけど、そのゲーム中にプログラムを自分で書いて使える機能があって、その機能を利用したプログラミングのお教室というのも出てきているんです。先日うちの近所で体験教室を小学生向けに開くというお知らせが立て続けにきたので、試しに長男が3カ所申し込んでみたんですよ。そしたらどこもいっぱいで、聞けば100人以上応募があったところもあるそうなんですよ。
すごい。
この変化が激しいVUCAと呼ばれる時代に、考え方の部分を強化してあげたいという親御さんのニーズが強まっているのを感じましたね。
プログラミングは学校の授業に取り入れられているし、浸透しているのを感じますよね。分析はそのあとかな!
え~負けてられない!(笑)
プログラマーはアナリストよりも人数が多いんだよね。
たしかに。
そうなんですよ。でもビジネスマンの資質として分析スキルって必要じゃないですか。
ディレクターでもプログラムできる人は少ないし、そういう意味でプログラマーは専門職寄りですよね。だから人数が多く見える。ウェブアナリストも専門のウェブアナリストは人口が少ないけど、ディレクター・エンジニア・コーダーを含めるとパイが大きくて、その人たちがが分析スキルとかABテストの仕方とか評価の仕方を持っておくと、より良いデザインができるようにしていけるじゃないですか。そういう形の導入の仕方でいいと思うんですよね。タグマネをゴリゴリできなくてもいいから、ヒートマップが使えるとかだといいよね。そうそう、ヒートマップってひとつの中間地点だと思っているんですよ。
説明がしやすいですよね。
視覚的に見えるからね。デザイナーさんって数字が苦手っていう人も多くて、グラフや表をみても「わからん」ってなるところ、ヒートマップをみたら、これ本当の話なんですけど、男性の顔はマウスオーバーされていないけど女性の顔はマウスオーバーされるんだなとわかるんですよ。そういうので興味を持ってもらえるといいかなと。
ウェブ解析系ってSEO、ウェブ制作、リスティング、ちょっとSNS、ちょっとアフィリエイトの集まりだと思っていて、デザイナーはちょっと離れているんですよね。アナリストで翻訳者になりたいんですよね。ディレクターとか経営の数字と現場のデザイナー、エンジニアとかの間をアナリストはつなげられると思っていて、上が言っていることをKPIにして分析して、それを現場のデザイナーやエンジニアにフィードバックして・・そういう意味でベースの知識を身に着けてほしいというのはありますね。
確かに、ディレクターをやっていた時に、なんでこれが良くてなんでそれがダメなのかっていうのを説明するために分析を勉強し始めました。
そのパターンよく聞きますね。そうじゃないと「俺の方が長年いるから」みたいな経験ドリブンとか社長ドリブンとか、特定の画像だけやたらと変えたがるとか・・
一同:(笑)
デザインは水掛け論になりがちじゃないですか。でも「社長、買わないでしょ」と。一番えらいのはお客さんなんだから、データを見て判断しましょうよと。社長がお金を出して買ってくれるならいいけど、お金を出すのがお客さんなら、お客さんが見ている方を選びましょうよって言えますよね。わかった、「デザイナーに必要なアクセス解析の知識」とか「ディレクターの必要な解析の知識」「エンジニアに必要なアクセス解析の知識」とか職種別に作ればいいんだ。エンジニア向けならタグマネやBigQueryの話になるでしょうし、デザイナーならABテストだったり、集客系ならサーチコンソールねとか、ソーシャルならこれね・・っていうのを誰かやってくれないかな(笑)
それいいですね。先生が主催して卒業生に投げて監修するとか(笑)
ソーシャルの分析は仕事でよくやるんですけど、難しいなと思うのが、データがあちらこちらに散らばるじゃないですか。サイト分析ならGAの1カ所でとれますけど、ソーシャルは分析ツールがいろいろあって、データ分析前後のプロセスが面倒なんですよね。
そうなんだよね、データポータルを使えばダッシュボード1カ所にまとめられなくもないけど、ツールを使うのにお金がかかったりするし、あとはUser Insightみたいに一カ所にまとめる有料ツールを導入する手もあるけど、そこまでやるかどうかだったり、みられる指標が限られてくるからそれでいいのかとかもあるよね。
たしかに有料ツールを使うと手っ取り早いですよね。
ソーシャルはトライ&エラーだから、分析よりはいろいろ試しながらどれの反応がいいかというのを積み上げていくのが一番な気がする。LINEも独特だし、InstagramもTwitterもFacebookもYouTubeもそれぞれにみないといけないよね。そういえばYouTubeってソーシャルに入れてOKなの?
世の中的にはソーシャルのくくりにされることが多いですけど、私が講師をしているSNSマネージャー養成講座ではYouTubeもLINEも「その他のSNS」という枠組みになっています。SNSではあるんですけど、OPENな場のやり取りでそれが拡散する要素があるものをメインのSNSにしていますね。
というと、Twitter、Instagram、Facebookがメインになる感じ?
まさにそうですね。でも個人的には国内で一番ユーザー数が多いSNSはLINEで9200万ユーザーで、YouTubeも6900万ユーザーなので、大切なツールだと思います。
LINEの公式アカウントを作ればフォローしてくれたユーザーとコミュニケーションができるわけだし、YouTubeももちろん便利だし、今すでに比重が大きいし、これからますます比重が増えますよね。
経営大学院の視点から
そういえば井水さんに聞きたいことがあったんですけど、Twitterで何かの講座に通っているって書いてませんでした?
最近学んでいるところだと、courseraか、グロービズかな?提案型ウェブアナリスト育成講座を卒業した後、提案型ロスになっちゃいまして(笑) なにか学びたいなというのと、消化し切れなかった部分の余韻を大事にしたかったのもあって、グロービズ経営大学院の単科授業で、クリティカルシンキングという講座に通いました。基本的にはロジカルシンキングなんですけど、批判に備える(クリティカルな)考え方をしっかり教えていて、全6日間、3か月かけて通って途中卒論みたいなレポート提出もありました。定性的なビジネスの状況とデータがあって、どんな提案をするかという内容なんです。
情報は用意されているんだね。
そうなんです。それでふたつ気づきがあったんですけど、ロジカルシンキングって、AはB、BはC、だからAはCっていう演繹的思考と、AとBとCという事柄から共通項Dという仮説を導く帰納的思考があって、みなさんロジカルシンキングを学びに来ているだけあってそこは論理的思考はとても上手なんですよね。でもデータの分析という点だけで比べると提案型ウェブアナリスト育成講座と比べると易しくて、セグメントを分けて比較するようなつっこんだ分析も見かけなかったです。そこですごく痛感したのは、ロジカルシンキングのスキルとデータを取り扱うスキルは別で、両方扱えることが大事なんだなと思いました。
あともう一つはケーススタディーに色んなデータが出てくるんですけど、売上データとか営業マンのデータとか色々ある中、データの値の数としては多くても数十なんですよ。それと比べると私たちが普段扱っているGoogleアナリティクスのウェブサイトのデータはBig Dataとも言える大きなデータを扱っているんだなと思いました。
まとまった指標だからね。経営の数字とか商品のデータベースとか、BtoBならSalesforceのような顧客データとか、それは時系列で見れるものでもないし、深堀ができないですよね。GAはその点、自由度が高いですよね。
グロービズは経営大学院というだけあって、財務の数値があって、その下に事業の数値がぶら下がっているという見方なので、普段やっていることは大きな枠組みでみるとそういう立ち位置なんだな、経営層はこういう財務KPIを考えているんだな・・というのを学べました。
本当に全然違いますね。
提案型ウェブアナリスト育成講座は、ウェブサイトのデータですからね。「分析だ、手を動かすぞ」という感じだからね。
違う視点が学べて面白いですね。
ちょっと上の経営視点とか学べてね。
受講生の職種もバラバラで、私よりも若い人のほうが断然多くて、大企業の人が多くて中小企業の方が少ない感じで、ことごとく自分とは違う属性の方が多かったですね。
会社の研修で行くパターンもあるんでしょうね。
そうなんです、仲良くなった受講生に聞いてみると、大体そのパターンでしたね。
今後の幹部生候補みたいな人たちを送り込んで「経営戦略を学んできてね、教える時間ないし」みたいなところなんだろうね。どうでした?聞いてみて。
一時期、ビジネススクールに通おうかなと思ったことがあったのですが、方向性を見定めないとただ勉強するだけになるなと思ったので、今日井水さんの話を聞けてよかったです。
結局は方向性だと思う。自分が好きなことで行くのか得意でいくのかはどっちも正解がないと思うし、私の場合はそれがたまたま重なったけど、なんかそういうのがあると自己紹介しやすいよね。「何している人?」「ウェブディレクターです、●●が強みです」っていうのがあると、今後差別化していきやすくなるよね。
差別化というのはよく思いますね。インタビューを読んでいるとみんな個性があるので。
あとは飛び込むタイミングだけだからね。何か決めてから行った方が遠回りしなくて済みそうな気がするからね。マネジメントの方かもしれないしね。
おまけトーク
井水さんのところは面白いよね。夫婦二人とも同じ業界で働いているから。宮川さんのところは?家で仕事の話とかします?
うちの夫はエンジニアなので、IT界隈の話をしますね。去年世の中で話題になっていたランサムウェアはどうだった・・・とか。
そうそう、どうやって出会ったの?
気になる!
Omiaiという婚活アプリですね。35.36歳の時に結婚して、今は結婚5年目で、実はお腹に赤ちゃんがいます。
おめでとうございます!いいねぇ!
すごいですよね!
先生の出会いは・・『スレイヤーズ』ですよね。
読まれてますね(笑)
編集中:小川夫妻の出会いについては、対談シリーズ番外編をご覧ください。
あの頃はアプリとかなかったからね。
私も林原めぐみさんの歌とか好きでした!
そうそう、あの頃は林原めぐみと奥井雅美がツートップで・・・
人気ありましたよね。
スレイヤーズは人気でしたね。ファンタジー小説といえば神坂一さんだったので・・・
(ポカーン)
井水さんはこっち側の人間なので・・(笑)
一同:(笑)
スレイヤーズの世界を知らなすぎて・・完全にこっち側でした(笑)。でも小説にはまる気持ちはわかりますよ、私も歴史小説が大好きなので!
私も好きですよ、三国志とか。
三国志がお好きなんですか?
大体なんでも手を出すね。漫画もアニメもゲームも。はやっているのは手を出して、でもがっつりははまらないね。今ならウマ娘とか。
原神とか?
1年以上やってる。
私はゲームやアニメはあんまりなんですけど、漫画はすごく好きで、大学生の頃3000冊以上持っていて今でも1000冊くらいは持っています。
3000冊!それはすごいね!せっかくなので最後に漫画の紹介を3冊くらいぜひ。
宮川さんが小川さんに読んでもらいたいマンガTOP3
というわけで、宮川さんから「小川さんに読んでもらいたい漫画TOP3」を紹介していただきました!みなさんご存じですか?
第3位 一日外出録ハンチョウ
(ヤングマガジンコミックス) / 福本信行、荻原天晴、上原求、新井和也
「カイジ」のスピンオフ。
地下の劣悪な労働環境で働く多重債務者相手にイカサマ賭博で設けたお金で「1日外出券」を買い、地上に出てたまの休みを満喫する班長・大槻が主人公。
昼間の蕎麦屋に入りつまみとビールを頼んで、飲みたくても飲めない周りのサラリーマンたちへの優越感を肴に楽しんだり、エリーゼやアルフォートなどどれが本当に人気のあるお菓子か仲間数人で「ブルボンドラフト会議」を開いたり、美味しいごはんのお供を決める「白米お供No.1決定戦」を開いたりと、くだらないんですが、大人がたまの休みを心から楽しんでいる様子がこれでもかと描かれているあたりが、すごくなごみます。
第2位スキップとローファー
(アフタヌーンKC)/ 高松美咲
「ここはグリーンウッド」や「動物のお医者さん」が好きという小川さんにおススメの一冊。
高校入学を機に、岩手の過疎地から東京の進学校に入学した三白眼の女の子が主人公。
大きな事件やドラマはないんですが、いろいろな登場人物の高校生ならではの悩みや未熟さとひたむきさ、主人公のまっすぐで飾らない純朴さ、登場人物全員の成長とドタバタが描かれていて「青春っていいな~!」と思える一冊です。
忙しさや人間関係で心がささくれ立っているときにおススメです(笑)
第1位 トリリオンゲーム
(ビッグコミックス) / 稲垣理一郎、池上遼一
「LIAR GAME」みたいな頭脳戦の漫画も好きとおっしゃっていた小川さんにおススメの一冊。
鬼のコミュ力のハルとPCに詳しいガクという個性の全く異なる二人が、コンビを組んでゼロから1,000,000,000,000$企業を作っていく話です。
IT、スタートアップ、投資、EC、アプリ、芸能界と、なじみ深かったり知らない分野の話が出てきて興味深いのと同時に、飽きないストーリー展開と個性的なキャラクターたちに、ずっと「このあとどうなるんだろう!?」と思わされます。
原作は「アイシールド21」「Dr.Stone」の稲垣理一郎さん、作画は「サンクチュアリ」の池上遼一さんと、実力派のお二人です。
以上、3回目となる最終回はウェブディレクターのマネジメントやキャリアをめぐり、色んな話をさせていただきました。漫画も読んだ方は、ぜひ感想をお聞かせてください!
今日はありがとうございました!