株式会社KDDIエボルバ 宮川夕希氏 × 小川 卓 対談 第1回 キャリアチェンジでウェブ業界へ

株式会社KDDIエボルバ 宮川夕希氏 × 小川 卓 対談

HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。

第22回のお相手は、小川卓主宰の提案型ウェブアナリスト育成講座第7期卒業生で株式会社KDDIエボルバ の宮川夕希氏。全3回でお届けします。

※本対談は2022年10月に行われました。

対談のお相手

宮川夕希
みやがわゆき

株式会社KDDIエボルバ
経営戦略本部 経営戦略部 Web戦略グループリーダー
宮川 夕希 氏

新卒で飲食業界に入った後、ウェブ業界へ転身。大手企業のウェブディレクターで経験を積んだ後、現職へ。自社メディアの戦略策定・運営を担う。提案型ウェブアナリスト第7期卒業生。

進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報の井水(イミトモ)が務めます。

第1回 キャリアチェンジでウェブ業界へ

飲食業界からウェブ業界への転身

イミトモ:宮川さんは提案型ウェブアナリスト育成講座で同期でご一緒させてもらったんですけど、改めて宮川さんのこれまでのプロフィールを教えていただけますか。

宮川:地元・熊本にある大学で法律も経済も情報も学べるという総合管理学科にいました。その後、何になりたいかよくわからなかったんですけど、料理や接客が好きなので、全国チェーンのファミリーレストランに就職しました。そこで3年半働いて最終的に店長になったんですけど、朝の8時に行って夜中の3時に帰るような重労働の生活だったんですよ。1日100~200人分のチャーハンを作ったり・・

小川:店長もチャーハンを作るんだ?

店長は全部できないといけないので、フロアも経営も料理もしました。当時はまだ23歳くらいだったのに。

なかなか多方面の技術やスキルが必要ですね。

全部できなければ、「店長なのにできない」と、パートさんになめられちゃうんですよね。三十代~四十代くらいの子供のいる主婦の人とかが最強なので(笑)
どんなに自分が疲れていて16時間通しで働いていても、そのパートさんが私の姿を見るのは働いている間の2、3時間なので、キツイ顔もできないし、精神的にはタフになったかなと思います(笑)

すごい・・。

でも、その仕事をずっと続けていくのはきついかな・・、手に職をつけたいな・・、でも何がしたいんだろう、いったん自分を見直そう・・と思い、「30歳までは好きなことをやって自分のやりたいことを見つけよう」と思ったんです。それでドイツが好きだったので、ドイツに1年半行きました。

ドイツはどうして好きになったの?

昔『ここがヘンだよ日本人』という番組で環境先進国としてドイツが紹介されていたんです。緑が多いし環境にも配慮しているんだなと。大学の卒業旅行でもドイツに行って、クリスマスマーケットに行った時にとても感動して、「いつかここに住んでみたいな」と・・・。でも今から考えると、ドイツ語も英語も話せなくて、かなり無謀だったかも(笑)

当時のドイツの様子(宮川さん提供)

仕事はドイツに行ってから探そうと思ってたの?

まずは半年間ほど語学学校に行ったら日常会話程度は話せるようになり、和食のお店で接客をしました。職人さんはドイツ語が話せなくても働けて、特に寿司職人なんかは世界中で引く手あまただったりするんですけど、接客だけでは難しいかなと。当時2007年頃、Facebookが流行ったり日本だとmixiが全盛期だったりして、インターネットってすごいなと思って、手に職をつけようと思い、一度故郷の熊本に戻りました。

熊本では何を?

1年半くらいフリーターをして、ウェブの勉強をするために東京に行きました。

ウェブの勉強は熊本では難しそうだった?

今はちょっと違うかもしれませんが、当時の熊本では「ウェブディレクターって何?」という感じでしたね。

まだそんなにホームページも作られていない感じだね。

ウェブの仕事も全然なかったですね。

親御さんは反対しませんでした?

母は反対しませんでしたけど、父は九州男児を絵に描いたような人なので、反対しましたね。九州ってメディアの仕事がとても少なくて、仕事といえば公務員・銀行・病院くらいしかないので。

そういうのが「ちゃんとした仕事」だと思われていたんだね。

宮川さんが「大好き」と語る故郷・熊本市街の様子(写真:宮川さん提供)

東京に出る直前の30歳手前くらいの時に父に「お前、職も決まっていない状況で東京に行ってどがんすっとや?」と言われたので、「私の人生に責任とれるのは私だけ。お父さんの言うとおりにしたところで責任とれないなら、お父さんは黙っといて」と。

九州女だ(笑)

東京に出てバイトをかけ持ちしながら、職業訓練所のWinスクールに通ってウェブの勉強を始めました。Photoshop、Illustrator、HTML、CSS、Java Scriptなど制作系を一通り学びました。本当は川俣さん(編集注:提案型ウェブアナリスト育成講座7期生の同期)のようにコンテンツ系に進みたかったんですけど、紙は一度印刷したら直しがきかないので、ウェブの方が面白いなと思って、未経験からウェブ制作会社に入って、デザイン・コーディングをしていました。

それはクライアントさんの?

そうですね。そこから一段上流の仕事をしたくて、大手企業に常駐できるウェブディレクターの仕事に移りました。2社行って、5年くらいディレクター業務をしました。

週に何日かその企業さんに行って常駐するやつね。

ウェブ解析との出会い

ディレクター業務をしていく中で、自分の関わった仕事で成果が出たか出ないかがわからないんですよ。自分のスキルが足りなかったからなんですけど、そこで常駐先の会社の方にウェブ解析士を持っている方がいて、ウェブ解析士を知り、「これはタメになりそうだ」と。

それで資格はとったの?

1年半前くらいに上級ウェブ解析士までとりました。

今はその会社にいるの?

今はまた別の会社でプロマネをしています。自社サイトで全体のウェブ戦略をみています。ウェブサイトの力で会社の売上をどのように上げていくかと。

どんな事業をしている会社ですか?

コールセンターを中心としたBPO事業になります。ここ最近では、電話だけでなく、チャットやチャットボット、FAQの運用支援など、いろいろなチャネルの提供もしています。お客さまの声を基にした分析やカスタマーサポート全体の課題抽出・改善提案も手掛けてます。ちなみに、コール(電話)だけではなくメールやチャット、Webや音声自動応答など、お客様からのあらゆるコンタクトに対してご案内・課題解決をしていくので、最近では「コンタクトセンター」という呼び名が主流です。AIを活用したソリューションの構築・運用なども手掛けています。

そういう仕組みをいろんな企業さんに導入してもらう感じ?

仕組みやコンタクトセンターのアセスメントコンサルティング、実際の運営のほか、ITエンジニア派遣、人材派遣管理システムの提供など、結構事業は幅広いですね。

toB向け(対企業向け)のサービスを提供しているんだね。

私自身の業務内容としてはコンタクトセンターのオペレーター採用のサイトや、当社に依頼してくれる企業さん向けのサイト、正社員採用のサイト、広告やSEO、分析など、ウェブ全般をやっている感じですね。

ウェブ解析士を受けようと思ったのは、その勧めてくれた人の影響?

はい、以前常駐していた時に勧めてくれた人の影響で、実際に解析士を取ったのはいまの会社に来てからですね。今の会社でウェブ解析士、上級ウェブ解析士、提案型ウェブアナリストをとった感じですね。

ウェブ解析士マスターをとろうとは思わなかった?

それをとっちゃうともう言い訳ができなくなりそうで・・(笑)でも、八木さん(編集注:提案型ウェブアナリスト育成講座第1期卒業生)にも勧められたし、いつかは受けたいなと。

井水さんの旦那さんもウェブ解析士マスターだしね。

夫はマスターですけど、私は上級ウェブ解析士なので。

マスターはとらないんですか?

マスターを考えたこともあったんですけど、自分には提案型ウェブアナリスト育成講座のほうが向いているのかなと思って。

どのあたりが?

せっかくなので、ウェブ解析士協会顧問もしている小川さん、是非その違いを教えてください。

マスターはウェブ解析士を育てる資格に近いんですよね。マスターに受かるとウェブ解析士を育てるための勉強会ができるようになるという方針が基本的にあるのと、マスターの講座の中ではレポート2種類と登壇で合計3つの試験があって(私が受けた当時は)、分析は提案型ウェブアナリスト育成講座に近いんですけど、全6回でやる感じですね。宿題が結構大変なのと、採点をするのが他のウェブ解析士マスターなのが特徴的ですね。レポートも話すのも「ウェブ解析士流」になるので、そこが合う・合わないはあると思う。

解析力よりも教育力?

教育とかレポートを作るというところなので、提案型ウェブアナリスト育成講座とは毛色が違うかなと。

私もウェブ解析士協会の顧問になった時に、当時理事長の江尻さんから「小川さん受けほしい」と言われて、受けたんですよ。15人くらいいて、3人くらい受かったのかな?初級と上級は顔パスさせていただきましたけど。

そうなんですか?

そこは勘弁してよ~(笑)そこまでは時間取れない!

一同:(笑)

確かに(笑)私が上級ウェブ解析士をとったときは、結構ヒーヒー言いましたね。最後のレポートを2、3週間で20枚くらい作らないといけなくて、仕事が終わってから毎日3ページ、ノルマでやりました。

あれ、そんなにありましたっけ?

毎年ちょっとずつ増えている印象はある。覚えておかなきゃいけないことはどうしても増えていくし、テキストもちょっとずつ増えて今はすごい厚さだし。

テキストもPDFになっちゃいましたよね。自分でオンデマンド印刷で印刷しようかなと思いました(笑)

そうそう。

私は提案型ウェブアナリスト育成講座を受けて、あの小川さんの講義スライドがテキストになったらいいのにって思いました。実際印刷して、何回も見直しています。

講座をやっていると、毎回何人か印刷してくる人がいるんだよね。パソコンでメモ取るタイプとメモを書き込むタイプとに分かれるよね。

いやいや、私はもともとパソコンでメモをとるタイプなんですけど、小川さんの講座は無理だったんですよ。スピーディーで話す量も多くて、手元で全体像を見ながら聞いていないと把握がちゃんとできないなと。まぁ単純に昭和なだけかもしれませんけど・・(笑)

私たち同い年なんですよね!書き込めるのもいいですよね。

私も昭和だけど、手書きができなくなったね。もう書かなくなっていったら、書けなくなったね。

小川さんとの出会い提案型ウェブアナリスト育成講座との出会い

提案型ウェブアナリスト育成講座を知ってもらったきっかけは?

小川先生は有名だったのでもともと本で知っていたんですけど、初めてリアルでお会いしたのは3、4年前の宣伝会議のセミナーでした。デジタルウェブマーケティングの講座でした。

渋谷さんとか本間さんとかと登壇した全6回くらいのデジタルマーケティングのセミナーかな?

そうです。小川先生はアクセス解析で2回登壇していただいていて、その時にユーザーエクスプローラーのローデータを全部追っていたんですよ。

ユーザー一人ひとりの動きを追っていくんですよね。それでこの時間にこれだけ見ているから・・と分析して。

こんなにすごい人でも、そんなに泥臭いことしているんだな!と。

一同:(笑)

そのときに反省しましたね、「効率よく・・」とか言ってはダメだなと、ちゃんと誠実に向き合おうと。

宣伝会議も今の会社で受けたんですか?

今の会社に入って1、2年くらいで受けたので、3、4年前かなと。

オフラインでやっているから、コロナ禍の前だよね。

提案型ウェブアナリスト育成講座も受けさせてくれて、結構色々受けさせてくれるんですね。

自己研鑽とか「これをやりたい」というのは、比較的受けさせてくれますね。

いいなぁ!(笑)

宣伝会議で小川さんとリアルで出会って、その後は何で提案型ウェブアナリスト育成講座を知ったんですか?

なにか解析の力を伸ばせるものはないかな?と思っていたときに、ホームページを見て知った気がします。「行ってみたい!でも高い・・・それでもやっぱり行きたい!」と思って上司にかけあい、行かせてもらいました。

その時一緒に検討したものはありました?

当時はなかったんですけど、もしも今同じ機会があったら、ベイジさんの講座と迷うかもしれませんね。

戦略的ウェブ制作集中講座
https://baigie.me/event/bootcamp/2020spring/

同期の砂子さんが受けたヤツだよね。

はい、以前対談でも砂子さんがお話していて、3期生の増子さんともそこで出会ったというお話でしたね。

結構、盛りだくさんな感じで、ウェブディレクターの総合的なスキルを伸ばせそうですよね。

はい。提案型ウェブアナリスト講座に参加した一番の理由は、上の方とか周りの方に論理的に説明する力を伸ばさないといけないなと感じていたので、通わせていただいた感じですね。

会社にお金払っていただいてね(笑)実際会社にお金を出してもらうってプレッシャーはありました?

何かしら会社に還元しないいけないなと。あとは私の知る限りでは社内にウェブ解析ができる人間が山のようにいるといったわけではないので、そういったメンバーを教育する必要を感じていますね。特に今GA4に移行してきているので・・。

GA4の導入はどう?

基本的なことはできたんですけど、今後どうやって探索レポートを作っていこうかとか、そもそもどうしてGAで数値をとるんだっけといったあたりから棚卸しするというのを、この下期でやらねばと思っています。

GA4関連本を4冊読んでも、まだまだ理解しきれないと語る宮川さん(写真:宮川さん提供)

以上、全3回の1回目となる今回は、宮川さんが飲食業界からキャリアチェンジしてウェブ業界で活躍するようになった経緯を聞きました。次回はいよいよ提案型ウェブアナリスト育成講座を受けた感想などを詳しく聞きました!

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