北風 和宏 × 小川 卓 対談 (1)営業職志望から地方ウェブマーケティングへ

株式会社Rocal 代表取締役 北風 和宏 × 小川卓 対談 (1)営業志望から地方ウェブマーケティングへ

提案型ウェブアナリストが語る対談企画北風和宏×小川卓

HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。

第15回のお相手は、小川卓主宰の提案型ウェブアナリスト育成講座第6期卒業生で株式会社Rocal代表取締役の北風和宏氏。全3回でお届けします。
※本対談は2022年1月に行われました。

対談のお相手

北風 和宏
きたかぜ かずひろ

株式会社Rocal 代表取締役

東京の広告代理店、福島のウェブマーケティング会社株式会社ハタフルを経て、株式会社Rocal設立。地方の中小企業を助けたい!という想いをかかげ、横断的なウェブマーケティングを提供している。

2020年3月提案型ウェブアナリスト第6期生 卒業。

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一般社団法人ウェブ解析士協会プロフィール

進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報のイミトモが務めます。

全3回の1回目となる今回は、北風さんが東京の広告代理店からスタートしたキャリアについて伺いました!

第1回 営業職志望から地方ウェブマーケティングへ

ひたすら広告レポートを作成する仕事になったきっかけとは

社会人の最初はどんな感じ?

もともと大学でマーケティングの勉強をしていて、一番最初の会社が広告代理店だったんですけど、比較サイトも運用しているような会社でした。営業ができるようになりたくてその会社に入ったんですけど、「営業に向いていない」って言われて・・。

え、なんでそう思われたの?

テレアポが強い会社だったんですけど、全然受注が取れなくて。(笑)

テレアポは大変ですよね。

そこでリスティング広告の部署にたまたま配属されました。配属されて3か月くらいでお客さんの1か月分の広告予算を1日で溶かすようなことをやってしまって、運用担当から外されました。

1か月分?!

それは単なる設定ミス?

そうですね、日額の予算を一桁間違えてしまって。

お客さんから言われて気づいたの?

いえ、自分で次の日に見てみたらとんでもないことになっていて、衝撃を受けました(笑) その時は菓子折りを持って謝罪に行って・・そこから1年間くらい、リスティング広告のレポートをひたすら作る仕事をしていました。

何で作ってたの?Excel?

昔はレポートツールが全然なくて、当時Overtureだったのでそこからデータを持ってきてマクロを組んでレポートを作って、所感だけを書いていました。運用していないのにレポートを作って所感を書いていたらだんだん運用できるようになってきて、会社で運用していた比較サイトのマーケテイングをやるようになりました。

自社サイトだよね?

そうですね、それがちょうどんどん伸びていって。

いいですね!

サイトはアフィリエイトになるの?

基本はアフィリエイトモデルですね。結果的にかなり伸びたので、リスティング広告の運用に戻してもらえることになって。

自社サイトで成果出したからね。

そこまで5年くらいあるんですけど。

リベンジしましたね。

当時の上司やメンバーもいたんじゃない?大丈夫だった?

いっぱいいました(笑)

それでも戻してくれたんだね(笑)

そうなんですよ!そこで戻ってきたら、意外と結構できて。

広告チームとアベンジャーズ

ほどなくすると、一緒に働いているメンバーがどんどん抜けていきまして。

激務だった?

そうかもしれませんね。このままだと運用チームが強くなれないからどうしようかと。当時、リスティング広告でフリーランスになる人が増えた時期があったんですけど、フリーランスの人を寄せ集めてアベンジャーズみたいにしたら、無敵な広告運用チームができるんじゃないかと考えて、そんなチームを作ったんですよ。

社外メンバーでってこと?

業務委託というカタチで。そしたら人によってしっかりやってくれる人もいれば、有名な方でも適当にやってくれる人もいて(笑) すごく差があったんですよね。

その時のお支払いは固定報酬?広告手数料って予算の何%とかじゃない?

基本は固定報酬で安定して収入を得てもらうようにして、大きなクライアントさんは20%もらえるところ折半で10%をお支払いしたりしていましたね。

その中で差が出ちゃったわけですね。

それで私もフリーランスになれるんじゃないかな?と思ったわけですよ(笑)

一同:(笑)

それまでフリーランスというと会社の先輩くらいしか知らなかったんですけど、 レベルが様々だなと思いながら、「真ん中くらいならいけるんじゃ」と思っちゃって。

フリーランスでスキルがめちゃめちゃ高い人っているよね。

あとは見せ方がとても上手い人とかいますよね。トークがすごくて。やってましたね、ブログで有名な方がいて、その人の名前を出したら受注がとれるというのもあったので。

知名度があるんですね、ブログ見てます!とかね。私もよく言われるけど。

でも知名度が高いのに全然やらない人もいたり、逆に知名度がない人のほうがしっかりやってくれたりして。

そのあたりは一緒に働いてみないとわからないよね。

フリーランスの始まり

それで会社を辞めてフリーランスになってみたと。

その時、ご家族は?

いなかったですね。フリーでしたね。

クライアントさんは引き継ぐ形だったの?

それは引き継がなかったんですけど、自社サイトのインハウスを引き継いでくれないかって。

まずはそのお仕事があったんだね。

そのお仕事をベースに、ちょこちょこフリーランスや知り合いの方からの依頼とかがありましたね。

最初は不安じゃなかった?何かあったら売上が立たないんじゃないか?とか・・

不安はありましたね。はじめは全然売上も立たなかったので。

だよね。

実際は収入がすごく増えちゃったんですけど、その分逆に不安もあって。もっと来年も頑張らないとなと。

1年目から黒字を出すってすごいね。何年頃だっけ?

ブラジルでワールドカップがあった年なので・・2014年ですかね?

そうだね!ちなみに私は2010年の日本でやった時の日本ージャマイカ戦があった日に結婚しました。

一同:(笑)

まさかのワールドカップつながり(笑)

ワールドカップに行きたくて会社を辞めたんですよ。ブラジルに行くってなると仕事をやってられないと。1か月くらい。

1週間で行って帰ってこれる距離じゃないもんね?。

地球の裏側ですからね。

なかなかですね。でも地球の裏側でもリスティング広告の仕事をやっていましたけどね(笑)

一同:(笑)

会社員を続けるという選択肢はなかったんですか?

リスティング広告で有名な会社に行くか、フリーになるかという二択でしたね。

フリーランスに反対する人もいないし、ワールドカップも見たいし?

そうですね(笑) 自由にやってみようかなと。

実家の家具屋へ

実は実家が福島にあるんですけど、結構伝統的な家具屋で今年で106年目なんですよ。

100年超え!すごいですね。

お父さんは社長なんですか?

父が社長で、祖父が創業してくれた感じですね。それで家に戻って来いと言うんですよ。

家を継げと?

そこでフリーランスの途中から二拠点生活になって、福島に週3日いて、東京に週4日いるような感じになりました。

福島にいる時は実家のお仕事?

家具の販売とか配達とか。全然違う職種ですね。

東京では広告の運用とか管理をしながらさ、帰ったら家具を運んでいるわけでしょ?

配達が終わった後、道の駅に車を止めてやったりしてますね。ちょうど実家に帰ったころ、Amazonが広告を出し始めたころで、あまりみんなやっていなかったんですけど、実家の家具をAmazonで売り始めたんですよ。

Amazonスポンサードだよね?

そうですね。

それが2016年かな?私がちょうどAmazonにいた頃だったので。

その位でしたね。フリーでやっていきつつも、何のためにこれをやっているのかなとか考えてしまったんですよね。

はい。

私は中小企業の会社の人のためのマーケティング支援をやっていきたいっていうのがあるんですよね。代理店の頃も思っていたし、フリーランスになってからもお客さんは中小企業ばかりでやりがいを感じていました。

株式会社ハタフルと福島への定住

東京と福島を行き来する生活に疲れてきて、東京から福島への定住を考えるようになってきた頃、東京から福島に帰る人達がいて、その人たちの会社に入ることになりました。私は実家の家業があったので、その会社の兼業社員1号みたいな立ち位置でした。

その会社は何をやる会社?

株式会社ハタフルっていう会社なんですけど、ウェブ制作やウェブマーケティングをしている会社です。制作をメインに、私はウェブマーケティングをやると。それがとんとん拍子に伸びていって。

お客さんは東京の会社さんが多いの?福島の会社さんが多いの?

福島の会社さんが多い感じでした。

どうやって案件を獲得できたの?

よく皆さんに聞かれます、地方に帰ってきてどうやって案件をとるのかって。その会社がやっていたことは、知名度を上げるために福島の観光を案内するようなサイトを作っていたんですよ。

なるほど、オウンドメディアを持っていたんだ。

それが当時46万PVくらいあって、福島の名所のワードを検索するとSEOでひっかかってくると。その代表がもともとベーシックという会社にいたんですよね。

知ってる知ってる、秋山さんのところだよね?

そうです、秋山さんとか飯高さんとか。

そういうのが得意だからね。

コンテンツマーケティングが強かったので、そのキーワードを全部おさえていったんですよ。福島のメディアで46万PVなんてないですからね。それで知名度を高めながら、セミナーをやったんですよ。福島で知られていない僕らがやっても誰も来ないので、東京から色んな人を呼んだんですよ。飯高さんとか、ことりっぷの編集長とか。それを3か月に1回やっていったら徐々に色んな人から声がかかって、ホームページの依頼がほとんどでしたね。私はホームページの解析や集客をする感じでしたね。あとブログを書いたら上位表示されることが多くて、お問合せがくることもありました。

地方×ウェブマーケティングしか狙っていなくて、当初はライバルがいなかったんですよ。

先行者利益だね。それで仕事が安定してきたと。

その会社も創業1年目は3人だったんですけど、今は6年目で約13人くらいになって。やっていくうちに規模が大きい案件を取りに行くようになって。

社員を食わせないといけないからね、売上を上げていかないといけないよね。

受注単価もどんどん上がっていったんですよ。ですが、本当に自分が助けたい人を助けられているのかなと。

中小企業を助けたい

もともと中小企業を助けたいっていうのがあったんだもんね。

実際中小企業はホームページを作るのに50万~100万もかけられないですよ。むしろホームページを作るよりももっと先にやらないといけないケースもあるじゃないですか。

Googleビジネスプロフィールを作るとかね。

そうです。ホームページがなくてもGoogleプロフィールさえしっかり更新したほうがよっぽど良いこともあったり。

ホームページの次のリニューアルまで一度も更新なしとかね。

あるあるですよね。正月のお知らせがあって、その次はお盆のお知らせでとか。それは人が来ないよって。

更新しているのは、社長でしょ?ウェブ担当を社長自らがしたりして。

本当に売り上げにつながることをやればいいなぁって思っていて。

そこで働いているとやりづらいんだよね?そこの会社の売上も立てないといけないから。

会社としては正しいんですけどね!これはもう独立して一人でやるしかないなと思って始めて、今が2年目ですね。ちなみに前職は今でも応援してます!

想いとしては地元福島で生まれ育ったっていうのもあるし、そこで中小企業を支援したというのもあると。

東京から福島に帰った時に、東京と東北の差がすごく大きいなと思って。東京と関西も差がありますけど、東京と東北ほどではないですよね。その結果、福島でやっていましたけど、福島以外の地方でも自分で手を挙げて助けを求めている人を助けたいなと。一応拠点は福島にありますけど、日本全国の中小企業だけをやるというスタンスで。今のお客さんの比率も8割が地方企業ですね。2割くらいが東京のお客さんと。

福島の中小企業さんをターゲットにするなら、前にしたみたいにセミナーやったり関係性を作ったりメディアをやったりってできるじゃないですか。地方全部ってなった瞬間にどうやって集客していくものなのか・・

今はお陰様で前職・前々職で知り合った色々な方のご紹介などが多いですね。

株式会社Rocalという社名とSEO

社名を株式会社Rocalとつけまして。

LじゃなくてRだよね、どうして?

SEOで絶対とれないというのと、ローカルという会社は他にも沢山あって、Rocalっていう会社名になった時点で海外の暖炉メーカーが1社あるだけになったんですよ。

社名や屋号を決める時にSEOって大事ですよね。

え、そう?株式会社 HAPPY ANALYTICSはセミナーの最後のスライドにみんなで楽しく分析をしてもらいたいなと思って「HAPPY ANALYTICS」って書いていたんだけど、会社名を決めよう、どうしようか?っていう時に弟子の飯村君がそれをみて会社名はこれがいいんじゃない?って言って決まったんですよね。それしか想いはなかった。

そうだったんですね。ちなみに株式会社Rocalのサイトは結果的に上位表示されるようになったんですね?

ハピアナのサイトって、SEO強くないですか?私の名前を検索するとハピアナのサイトが一番上に出てくるんですよ。

井水さんの旦那さんもセミナーとか色々やっているんですけど、ハピアナが一番上にくるっていってたよね。

はい、名前で調べると・・昨年末くらいからそうなったんじゃないですか?

コアアップデートでいい感じに・・(笑)

自分の名前で検索しても会社名で検索しても出てくるんで、もしかすると抜かれちゃうんじゃないかと(笑)

こっちから案件きてくれるといいけどね(笑)

リスティングからウェブマーケ全般へ

お仕事としては制作がメイン?

リスティング広告をメインにしているんですよ。それでリスティング広告の話がくるんですけど、リスティングをやらないほうがいいなって思う時があって。

結局売り上げが上がればいいけど、そうじゃないよって?

そもそもサイトから改善した方がいいよね、とか、サイトじゃなくてもLP(ランディングページ)を用意したほうがいいよね、とか。それでリスティング広告とLPをセットにしたり、Googleビジネスプロフィールと合わせて全部やりますよっていう形でしたりしています。

リスティングだけじゃなくて、ページも作るし登録するし更新するしと。

基本的に何をやってもいいと思っていて、お問合せが増えればいいなと。

そうそう、ウェブサイトである必要は全くないからね。ソーシャルでがっつりやれる会社ならそれすればいいし

お問合せが年に1、2件くらいのレベルなんですよ。それが月に5件とかきてしまうと、祭りがおこるんですよね。

逆にお問合せが増えすぎると支障が出ますよね。

月に10件きてしまったところは社員がいなくてまわらなくなっちゃって、リスティング停止になっちゃったということもありました。なので何をやってもいいのかなと。

会社さんにとって「ウェブマーケティングを丸々お願い」と言ってもらえるような感じなんですね?

そういう感じが多いですね。

温泉旅館の立て直し

今は温泉旅館を立て直すっていうのもやっていますね。

すごいね。

福島の岳温泉(だけおんせん)って言うんですけど、そこにある温泉旅館が新しいことをどんどんやっていきたいって言っていて。Mount Inn(マウントイン)という名前の旅館で。アクティビティに特化した宿にしようと。安達太良山(あだたらやま)が近くにあって、そこに遊びにいってもいいですし、温泉が白く濁っている温泉で、地元の人たちには愛されているけどまだまだ日本には全然知られていないんですよ。ちなみに近くにドリフト場があって、世界で注目されていて、ドリフトの聖地って言われているんですよ。コロナ禍になる前に、ドリフトするためだけのために海外から人がどんどん来る状況だったんですよ。海外のブロガーの人がブログで紹介してバズってしまって、新婚旅行に来たカップルもいましたね。ドリフトといえば、この温泉みたいな感じになって。

すごいですね!

でもコロナになって外国からの需要が途端になくなって、近場の人もあまり行かなくなってしまって、赤字に転じてしまったんですよ。

宿の予約でOTA(編集注:OTAとはOnline Travel Agentの略、オンラインで完結する取引)と呼ばれる楽天トラベルのようなサイトと自社サイトのどっちが安いかという調整だったり、どのページを見られていてどこで離脱が多いのかを見てみたり。実際部屋のページで離脱が多かったのでそこでポップアップを出してみたり、お土産が余りすぎて福袋にしてオンラインで販売とかを地味にしていくとそれだけで上がって。

元々サイトを作って何もしていないところってちゃんと上がるからね。

そういう宿を助けるのって楽しいですね。

株式会社刀の森岡さんを思い出しますね。

ちょうど刀のスクールに行っていた静岡の桜井さんという方一緒にやっているんですよ。私はウェブマーケティングのあれこれはできるんですけど、ブランディングは・・・

また別になるよね。

その時にTwitterでずっと知り合いだった桜井さんが刀のスクールを出たので、それで一緒にやりませんか?とお声がけしたんですよね。静岡の人と私の2人でやっているんですけど、来月マーケティング合宿と題して、その宿で色んなマーケの人たちが集まってアイデアを出し合うとどうなるかっていうのをやるんですよ。オンラインでも中継します!

超実践地方マーケティングセミナー 「現場から生中継!コロナで大打撃を受けた地元温泉宿をマーケティングで救えるのか!?」

一同:楽しそ~

じゃぁそこの宿に行くの?

そうです。その宿の改善提案を色んな角度の人がやるんですよ。ブランドの人もいれば店舗マーケティングの人もいて。

またアベンジャーズみたいですね。アベンジャーズ的なのが好きですね?(笑)

あぁ、好きかもしれないですね(笑) 違う特技を持っている人を集めて。

以上、全3回の第1回となる今回は、広告代理店からキャリアをスタートさせた北風さんのキャリアについて伺いました。次回となる第2回は提案型ウェブアナリスト育成講座を受講したきっかけや、受講で感じたことを中心に伺いました。お楽しみに!

関連リンク

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株式会社Rocal 代表取締役 北風 和宏 × 小川卓 対談 (2)
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