株式会社Rdesign Factory 代表取締役川俣 沙織 × 小川 卓 対談 (3)絶対このサイトを改善する!
HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。
第17回のお相手は、小川卓主宰の提案型ウェブアナリスト育成講座第7期卒業生でデジタルマーケティングプロデューサーの川俣沙織氏。全3回でお届けします。
前回の、(1)出版業界からデジタルマーケティングで独立するまで では、川俣さんのキャリアについて、(2)ハードだった提案型ウェブアナリスト育成講座 では、提案型ウェブアナリスト育成講座受講のきっかけやハードだった前半パートについて伺いました。
最終回となる今回は提案型ウェブアナリスト育成講座の後半部分の感想やお見積り談義について話しました。
※本対談は2022年3月に行われました。
※今回は川俣さんのお知り合いのプロカメラマンが入り、撮影の中、対談が進みました。
撮影:浦田大作
対談のお相手
川俣 沙織
かわまた さおり
株式会社Rdesign Factory 代表取締役
出版業界で実用書・タレント本・インタビュー雑誌などの編集者として働いた後、WEBディレクターへ転身。2020年にデジタルマーケティングプロデューサーとして独立。提案型ウェブアナリスト育成講座7期卒業。
進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報のイミトモが務めます。
改善提案レポートの題材はブログ
講座で分析する時はどうだった?時間かかった?
本当に・・・寝不足でした。
一同:(笑)
それはもうお仕事が忙しくなった頃で?
すごく忙しくなった頃で・・どうすんのもう、と。しょぼいサイトで数字もそんなにないブログを公開するのも恥ずかしいですし、ブログの記事も友だちを作れたらいいかなと思って作ったんですけど・・・さすがに独立して仕事をしてみると、友達作るとかなんか違うよねって(笑)
一同:(笑)
分析しても、「とはいえねぇ」みたいに見ちゃって。
ひいて見ちゃう感じね、これは締め切りあるからさーとか。
そうなんです(笑)。でも講座に行くって決めた瞬間に、絶対このブログを改善するために、この講座で学んだことを活かすんだ!と決めていたんです。でも実際に最後のレポートをやる時に「本当にやる!?」と迷いました。
一同:(笑)
裏の自分?
脳内会議で(笑)
始まっちゃった(笑)
クライアントのサイトでもっと深掘りしたいものもあったんですけど、それはどちらにせよいずれやるんですよ。でも自分のサイトは自分以外やらないんですよね。これはもう、恥を忍んで全部を晒してやったほうがいいと。
やるしかないと(笑)
GAの好きなレポートは?
この対談記事で、皆さんよくGAのどのレポートを見る?っていう話があるじゃないですか。私が見ているのは、・・・あ、聞かれてもいないのに答えちゃってすみません。
一同:(笑)
知りたいな~(笑)
どのレポートがすき?(笑)
流入元と滞在と曜日・時間をよく見ているんですよ。それにサーチコンソールの情報と合わせて、定点観測してコンテンツを入れていくっていうと、SEOツールをいつも見ていたんですけど。
コンテンツをしているとそこは欲しいよね。
はい。でも講座に行って、知らなかったー!!と思ったのは、ユーザーエクスプローラー。あれがあるのは知っていてちょいちょい見ていたんですけど、使い方を知らなかったんですよ。
うん。
小川さんがサイト改善でユーザーエクスプローラーのデータを束で見て、メモした結果を分析としてデータをまとめて、仮説を立てて改善提案へと導くのを見て、衝撃を受けました。こんな使い方ができるんだと。私が欲しかったのはこれだわと。
なるほど。
今はユーザーエクスプローラーのデータも使って「こういう動きをしたユーザーがいて、こういう結果が出ているので、○○ですよね」と、この分析もずっとやっていますみたいな顔をしてます(笑)
一同:(笑)
サイト規模があまり大きくないと、より使えますよね。コンバージョンをしたユーザーの動きを見るっていう意味でもね。
はい。あれはすごくよかったです。
曜日とかキーワードを見るっていうのはユーザーのことを知りたいという欲で見ていると思うので、ユーザーエクスプローラーは相性がよさそうですよね。そうそう、見るだけじゃなくて活かさないとってね。集計されてもよくわからないけど、例えばすごい行き来してから納得する人っていうのがいたり。
妄想じゃないんだっていう。
改善提案レポート発表と収穫
講座では忙しい中なんとか作り上げて、発表して・・・緊張するタイプじゃないですよね?
もともとは緊張しないんですけど、あまりにもすごい人がたくさんいらしたので、違う意味で緊張しました。
わかります、あの場は緊張しますよね。
え、した?
めちゃめちゃ緊張しましたよ。
話し慣れている人はいるけど、自信があって完璧だーっていう人はあまりいないよね。それは私もそうですけどね。クライアントに対してプレゼンする時に通せるかっていう方の緊張ですけど。分析の方には自信があるので。
はい。
「知ってるよ」っていうのが一番怖いんですよね。分析って8割は想定通りのことが出るから、「やっぱりここが見られているよね」「やっぱりここの直帰率が高いよね」・・みたいな確認作業ではあるから。
そうですよね。
慣れてくれば慣れてくるほどレポートを見なくても見えてきちゃうから、それを補強するためにレポートを見て、説明した上で改善施策をやってもらう。そこの相手側次第だし、どれくらいの知識があるかというのもあるし、すぐやってくれる人は逆に怖いっていうのもあるよね。今やっている会社もそうだけど、10個改善案をだして「全部やります!」とかね。全部実装されたらされたで、それだけ効果が出ないと困りますからね。
プレッシャーはありますよね。
自分のサイトの場合は自分でやればいいから、最悪思ったほど上がらなくてもなんとかギリギリだけど、クライアントさんのサイトはそうはいかないからね。
帳尻合わせが大変ですよね。
川俣さんのレポートを同期としてその場にいましたけど、トークが軽妙でみなさんトークにすごく引き込まれていた気がしたような。
私、あの発表の後、西ノ原さんから仕事をもらったんですよ。
医療美容の発表をした方でしたっけ?
そうそう。
「自分のサイトを作らなきゃと思って昔作ったけど、今は公開してないんです。自分のは忙しくて作れなくて(苦笑)」と。それで、私に「原稿を書いてもらえませんか?」って。で、講座が終わったその週に会って、次の週にお仕事をもらいました(笑)
すごい。
私の発表を聞いて、コンテンツを仕事で作っている人がいた!って(笑)。
受講生同士でつながっていただけるのは嬉しいですね。コロナ禍でなかなか講座の途中に食事会とかでいなくて。最近毎回ぼやいていますけどね(笑)
それでも7期は最後に食事会ができたのはよかったですね。
今期も5月から始まることは確定しているので、どうしようかなと思いつつ。
コロナ禍が早く落ち着くといいですね。毎回言ってますけど(笑)
改善提案レポートのスライド資料談義
印象的だったこととかある?
住宅メーカーの方がふたりで受講されていましたよね。同じ会社だけど発表されている内容は全然違って、それぞれの方が描くストーリーも違うじゃないですか。ああいうの、いいなって思いました。私は社内で一人情シスじゃないけど、一人ウェブなんでも屋みたいな状態でいることが多くて、専門的なことを話せる仲間がいなかったので、同じ社内で改善案を出して、違う視点の発表が出てくるのは面白いなと思いました。
あれ面白かったよね。
あとは、「これパワポなの?」というめちゃくちゃすごい内容やデザインのパワポもあって感動しました。そこは本質ではないんですけど、「やっぱりパワポのデザインも大事よね」とも思いました。
どっちも大事だよね。
はい。いろんな視点を得られて面白かったです。
自分でやっていると、自分の基準ができるじゃないですか。パワポはここまで作るとか、分析はここまで入れるとか。中にはそれを全部取っ払う人がいて、私もどちらかというとデザインはとっぱらって分析のほうに特化しちゃうので・・デザインや編集の経験があったほうが、見栄えが良くなるというか、見た時にすっと入ってきやすいっていうのはありますよね。型もあれば、センスもあるのかなと思うけどね。
どちらもありますよね。
小川さんのパワポって青いやつですよね。
一回テンプレートで作っちゃったからね。昔はセミナーの回数が少ないころは、毎回変えて楽しんでいたんですよ。私の趣味はウェブでパワポのテンプレートを買うことで・・
一同:(笑)
「今回のセミナー、テンプレートどうしようかな?」と自分へのご褒美で買うんですよ。15$くらいで。
一同:(笑)
でも忙しくなると、時間がない上に、テンプレートがめちゃくちゃ増えると、次のセミナーに使いまわせないんですよ。
そんな変遷が。すごく合理的な考え方ですよね。
本当に無理だなと思って。でもこの間クライアントさんに出すパワポのデザインがどうしても気になったので、育成講座の卒業生1期生の杉山さん、彼は紙のデザインもしているので、資料をブラッシュアップしてもらいました。
すごい。
そのまま提出できたんですけど、自分で納得いかん!となって。自腹を切りました。100ページくらいのボリュームだったので、自分では出来る実力が無くて。でもそういうのもアリだと思うんですよね。最後に、職人に仕上げてもらうって。
相手に伝わる分析結果の表現
講座でもそういう話があったじゃないですか。「こういう課題のときはこの分析軸を使う」とか、「こういう結果を見せたいときはこのグラフ形式を使う」とか。小川さんはご自身用のテンプレートをいくつも用意されているから、たくさんの仕事をクオリティを維持しながらできるんだなって思いました。
なるべく効率化するようにはしてるね。仕事はアウトプットの量と質がすべてだし、時間は有限だから。
そうですよね。
実際引き出しが多いという話だと思うんですけど、川俣さんは講座を通して引き出しが増えた感じがしました?
格段に増えました!
それはグラフの表示の仕方とか?他の部分もありました?
視点の違いを得られたのが大きかったです。ポイントポイントの視点は持っていたんですけど、それをつなげる方法が私にはストーリーしかなかったんです。でも、講座を通じてストーリーをつなげるデータの見せ方や使い方の手段と方法が持てたと思います。
目指したいストーリーとか、ユーザーにこうなってほしいっていうストーリーがありますもんね。こういう人が増えたらいいよね、っていうね。描いて終わっちゃうとあれだけどね。
そうなんです。だから講座が終わった後、その辺をもう少し手厚くしたくて、データ分析の講座を受けたりしています。蛭川さんという方が講師で、データマンのためのもので。
データサイエンティストとかそっちのほう?
はい。使うデータをどこから持ってくるかとか、データをどうやって見せるとストーリーを作りやすいかがもうちょっと知りたくて。
私は普段、大枠のストーリーを作って、ゴールはここなので、現実とはどのくらいギャップがあって、実現するにはどうすればいいかの提案をすることが多いので、データ分析をもう少し詳しく知りたいんです。データを専業にしている方はデータをどう扱うかを知ることで提案の深みや実現性を高められるんじゃないかと思って勉強しています。
素晴らしいですね。
お見積りってどうしてる?
質問をもらっているんですよね。
前回の対談相手で同じく7期生の五味さんからで、お仕事の見積金額をどうやって決めてますかっていう質問です。
私も受講中に小川さんにどうやってギャラを決めていますかとご相談したことがあります(笑)。
最初に話しちゃうと、私は独立する前から副業という形でお仕事していたので、本業の方でコンサルタントとご一緒する機会が多く、お支払いしていたので、大体単価がわかっていたんですよね。なのでその情報や、知り合いの皆さん皆様に相場を聞いて、そこよりちょっと下くらいにしたんですよね。だから1時間15,000円くらい。仕事をもらう時は時間で見積って20時間だから300,000円ねって見積する感じが多かったんですよね。だけど、時間は増えないので、単価をあげていくしかないってなるんですよね。
そうなんですよね。
単価の上げ方って二つあって、金額自体を次の案件からいくらにしますっていう上げ方もあるし、働く時間の中を効率を上げるやり方もあって、私はどちらもやってきたタイプで、秘書が全部予定をおさえてくれるっていうのは時間の効率を上げるほうの改善だし、単価に関しては勇気をもって上げるしかないよね。上げる側からしたら申し訳ない気持ちになるけど。
そうなんですよ。
でも意外と通るよね?
そうなんですよ(笑)
こっちの方がビクビクしちゃうよね。
はい(笑)。慣れてきましたけど、本当にいいのかなとためらうことはありますね。会社員のときは外注する側だったので、自分が頼んでいた業務の相場感もわかっていますし、メニュー表もいただいていたので、それより少し安いくらいに値段を設定してました。一番高いところが1日8時間の工数で7万円だったんですよ。
1万円切るくらいね。
はい。それを基準に、最初は7時間労働で4万円くらいに決めて。
5千円切るくらいね。
そうです。でも、すぐに割に合わないと気づいて、時給を5,000円から8,000円に上げて、今は1時間10,000円にしています。以前はメニューごとにいくらって決めていたんですけど、小川さんに相談してから、全部時給計算してます。
同じメニューでも分析にかかる時間って全然違うじゃん?
そうなんですよ。施策とか企画とか、考えるのが重たい業務は最低20,000円にしたり。
考えるのも含めて働く時間っていうことですよね。それでもぶっちゃけ安いよね。
そうなんですよ。だからどうしようかなと今も思ってます。
サービス単価から時間単価にした理由は?
見積計算が複雑で面倒くさいなと(笑)。メニューと照らし合わせて業務ごとに工数計算するのが大変すぎてやめました。ベースは1時間10,000円でいいやと。小川さんがそうしているなら私もそうしようと思って(笑)。
その中で出せるクオリティーとお客さんが求めるクオリティーというのは、厳密には違うんでしょうし、売上につながるもののほうが高いとかあると思うんですよ。成果報酬という考え方もあるじゃないですか。成果報酬は毎回検討するんですけど、毎回、無理だなと思うんですよね。うちは制作機能をもっていないし、お客さんがやってくれなかったら最低報酬だけになって厳しいなと。やらなかったら上がらないので最低賃金だけですってなっても厳しいですよね。社内で通す時も、50~100万円になりますじゃ絶対通らないので、そうなると一番上の金額を言うしかないので、そしたら通らないじゃないですか。なかなかそこは難しいなという印象ですね。
見積を立てる時間がかかるのっていやですよね。
わかる。結構大変ですよね。
気軽に言われるじゃないですか、「見積りください」って。まあ、私も言ってたんですけど(笑)。
私はその場で聞いてある程度の値段をすぐ言っちゃいますけどね。「大体60?80万円くらいですかね」とか。
そっちのほうがいいですよね。
駆け引きとかは?
駆け引きはしないね。
時間単価だから駆け引きしようもないですしね。
5万円安くするならそれだけ時間が短くなってもいいなら、それでいいよーっていう話なので。あとはパワポを作らずにエクセルでそのまま納品しちゃうとかね。そしたらパワポに作り込む時間がかからなくて済むので。パワポという形式を望まない方にはその分安くするということで。
なるほど。
一番よくないのは、自分でかかる時間を見誤ることですね。30時間で終わると思ったら50時間かかっちゃったとかね。
そうなんですよね。
今日も10時~12時にオンラインのZoomでクライアントさんのGA4の設定を一通りオンラインで見せながら実施してきました。打ち合わせは1時間50,000円って決めているんで、2時間10万円ですね。10人くらいにオンラインで参加いただきました。主担当とやり取りして、その場で「コンバージョンは何ですか?」って聞きながらリアルタイムで設定していくというパターンだとそれで済むんですよね。
それ、いいですね。
それが、設計書を作ってテストをやってドキュメントくださいってなると、50万円くださいってなるんですよね。それとどっちがいいですか?っていう話を先週して、お仕事が決まって、今日の朝やってきたようなスピード感でできちゃうから、私も楽なんですよね。準備もしていないし、権限だけくださいっていうだけなので。
お互いハッピーでいいですね。
そういうやり方もあるのかなと。
将来への想い
今後、3年後、5年後とどうしていきたいですか?
さっきお話しした、コンテンツマーケティング→ナーチャリング→CRMのセットを強化していきたいなと思ってます。コンテンツを作って終わりとか、分析して終わりとかじゃなくて、作ったものを分析してPDCAサイクルで回せる仕事をクライアントさんと一緒にしていけるとみんなでハッピーになれるのかなと。
リードジェネレーションして終わりじゃなくて、ナーチャリングして成果につなげるということですね。
はい。作って終わりになることってあるじゃないですか。クライアントさんに夢というか目標があって、夢を叶えるための箱(ウェブサイト)ができました。じゃ、さようならって(笑)。それって寂しいなと。
一同:(笑)
作ったからには、描いた絵を実現できて、それをクライアントが自走できる仕組みをサポートする形にしていきたいなと。
結構、リニューアルで力尽きるところも多いですからね。
そうなんです、本当に。
ユーザーが使うのはそこからなのにね。
分析のお仕事って単発で終わることもあるじゃないですか。でも小川さんは単発で仕事が終わるのは問題ないとおっしゃった上で、「クライアントがツールを入れて自走できるようになって、分析カルチャーが広まってほしい」とお話しされていたのが印象的でした。私もそんなふうに手離れしていくことがいいことだって思える仕事をしていきたいなと思います。
次の方になにか質問があれば。
えーと、ギャラの話ですかね(笑)
ではまた同じく7期の砂子さんに聞きますね。ありがとうございました。
今回は、川俣さんのお知り合いのプロカメラマンが写真撮影をしてくださり、バージョンアップした写真でお届けしました!
撮影:浦田大作
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