HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。
第22回のお相手は、小川卓主宰の提案型ウェブアナリスト育成講座第7期卒業生で株式会社KDDIエボルバ の宮川夕希氏。全3回でお届けします。
第2回 提案型ウェブアナリスト育成講座を受けて
前回は、宮川さんが飲食業界からキャリアチェンジしてウェブ業界で活躍するようになった経緯を聞きました。今回はいよいよ提案型ウェブアナリスト育成講座を受けた感想などを詳しく聞きました!
※本対談は2022年10月に行われました。
対談のお相手
宮川夕希
みやがわゆき
株式会社KDDIエボルバ
経営戦略本部 経営戦略部 Web戦略グループリーダー
宮川 夕希 氏
新卒で飲食業界に入った後、ウェブ業界へ転身。大手企業のウェブディレクターで経験を積んだ後、現職へ。自社メディアの戦略策定・運営を担う。提案型ウェブアナリスト第7期卒業生。
進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報の井水(イミトモ)が務めます。
私は最下位?と感じた講座初日
講座を受けてみて、初日はどうでした?
この対談を読んでいると皆さん同じようにおっしゃいますけど、自分が最下位に感じました。独立している人も多くて、そんな中に自分がいていいのかなと。
あれは不思議だよね(笑)半分以上の方がそういう風に言うよね。
五味さんとかすごいじゃないですか。
自分を確立していますね。
一同:(笑)
私は最下位だと思っていたけど、それでも一番良かったのは、周りのいろんなバックグラウンドを持っている意識の高い方たちとお知り合いになれたのは大きな収穫でした。
社内だけだと自分が一番詳しい人みたいになりがちなので、なかなか相談できないし、質問されてわからないときに自分で調べるしかないっていう風になっちゃうよね。
ここの数字はなぜとれないんだとか。
周りに聞いてもわからないから、自分で調べるしかないよね。
ブログを調べても情報が古いとかいうこともあるし・・
そうそう、GA4は特にそうだよね。
そんな時、提案型ウェブアナリスト7期生同士とかでやりとりはしていますか?
提案型ウェブアナリスト育成講座卒業生のslackで質問していますね。この間も小川さんに回答いただきましたし・・。
講座初日に学んだDMAICとコンセプトダイアグラム
初日はDMAICやコンセプトダイアグラムについてやりましたね。
仕事上、ペルソナやカスタマージャーニー、クロスSWOT等のフレームワークは使うんですけど、DMAICというのは初めてでしたね。
Define、Measure、Analyze、Improve、Controlね。
設計なんてしたことなかったなと思ってそこが勉強になりました。設計してこなかったからGTMの画面なんてぐちゃぐちゃで(笑)整理しなくては!と強く思いました。
タグが使われているかわからないし、消すのもコワイやつね(笑)
ハイ(笑)GAで取れるとような指標もあったりして、たしかに人が増えてきたら設計が大事になるなと思いました。
設計だけはなかなか自動化されないんですよね。ここも機械がやってくれれば楽になるんでしょうけど。結局は自分で考えてどのページでどのイベントを取るのか、人間が考えて設定して実装しないといけないからね。そこの部分のニーズが高いんですよね。
そのあたりはウェブディレクターの腕が鳴るところですね?
そうですね(笑)
実装とかはエンジニアさんにお願いすればいいけど、設計のところだけはウェブディレクターさんなり誰なりが決めておかないと、分析用のタグを入れたはいいけど見たいものが見られない、使えないってなっちゃうからね。
コンセプトダイアグラムは、Miroを使ってやったんだよね。
オンラインホワイトボードツール
https://miro.com/
うちは同じチームの石黒さんのサイトを題材に、みんなでコンセプトダイアグラムを作ったんですけど、休みの日にMiroで集まって、他の人のサイトでみんなで「あぁでもない、こうでもない」と話しながら進めるのは新鮮でしたね。
自社のサイトだとなんとなくわかっちゃうけど、自分が普段見ないサイトでコンセプトダイアグラムを作っておくとね・・
とても勉強になりました。カスタマージャーニーなら作ったことはありましたけど、コンセプトダイアグラムは初めてで新鮮でした。各ステップで数字をとるというのはカスタマージャーニーにはないので。
カスタマージャーニーは「ユーザーがこうなってくれたらいいよね」というのがあって、それに対して「どういう施策をあてよう」というものだけど、数字を取る前提じゃないんだよね。
宮川さんはお仕事でコンセプトダイアグラム使っていますか?
今は使っていないんですけれども、下期にコンセプトダイアグラムをしたいなと思っています。数値化されるのはとてもいいと思っていて、それがあることで話の通りが違うので。
提案型ウェブアナリスト育成講座を受けてから初ですか?
そうなんです、講座のビデオを見て復習しないと(笑)
動画では他のグループの結果も見られますよ(笑)
セグメント&タグマネージャー
講座ではその後にセグメントやタグマネージャーをしましたが、どうでした?
セグメントは先生が出した宿題が5点中0.5点だったことばかりが印象に残ってます(笑)GTM(編集注:GTMはGoogleタグマネージャーの略)も簡単な設定ならしてきたんですけど、ガリガリやってきたわけではなかったので、やっと変数とトリガーのことが合致しましたね。
GA4はタグマネ前提みたいなところがあるからね。
GA4だけだと取れないものが結構ありますよね。
ファイルダウンロードとか外部リンクは拡張機能でとれるようになったけど、ECサイトのようなサイト固有のものをとろうとするとタグマネと仲良くならないといけないよね。そこもさっきの話と一緒で、結局は「設計」のところなんだよね。
宮川さんが今のお仕事で携わっているサイトはどんなサイトですか?
toB(対企業向け)の営業リードを増やす系ですね。お問い合わせ件数もtoBなので何千件といった量があるわけではないので、GTMでゴリゴリというよりかは、コンバージョンしたユーザーのユーザーエクスプローラーでそれぞれのユーザーの動きを追うとか、深掘りしていく感じですね。
まさに提案型ウェブアナリスト育成講座で紹介された「コンバージョンしたユーザーの閲覧行動をユーザーエクスプローラーで見る」というやつですね。
そうです(笑)
私もBtoBのサイトでお問い合わせが月5~10件くらいなら、そっちを見るかな!
卒業レポートはリテイク覚悟だった
その後は卒業レポートの改善レポートの発表にいくわけですが、どうでした?
自分の作った資料が合格する域に達しているかどうかが不安でした。普段仕事でしていることとそんなに差がなかったと思うんですけど、「それってクオリティーとしてどうなんだろう」と。
その辺りはレビューもさせてもらったよね。その後、発表はどうだった?緊張した?
少し緊張しましたね。私は2日目に発表だったので、初日のみんなのプレゼンを見てすごいなぁと思っていたので、はじめはリテイクかなと思っていました。
(編集注:提案型ウェブアナリスト育成講座7期ではカリキュラム全10回のうち、9回目と10回目のいずれかに受講生全員が改善提案レポートの発表を行いました。)
(笑)
私は同期として聞いたわけですけど、宮川さんはすごく堂々と発表していた記憶があります!ちなみに、レポートって発表初日の段階でできていました?
まだ全部はできていなくて、初日の内容を聞いて、なるほどこういう風にするんだと参考にさせていただきながら直しました。
やっぱり2日目ってそうなりますよね。私も同じ日の発表でしたけど、初日の段階ではほぼできていなかったので、初日のみんなの発表を聞いたらさすがに尻に火がつきました(笑)結局、発表当日の移動途中まで気になるところをブラッシュアップしたりして、粘りました。
なかなか他の人のレポートを聞ける機会ってないんですよね。
そうですよね。それぞれ個性が出るものだし、正解もないよね。レポートの大きな枠組みは、予見整理、まとめ、詳細という流れはあるけど、分析や作り方は尊重するべきで、ガチガチにフォーマット決めて作り込むパターンというよりは、ある程度自由にやってもらっていますね。
7期生はtoBや非物販のサイトが割合が多かったですよね。私も製造業のBtoBサイトを多く扱うので、普段はなかなか見られないBtoBの改善レポートが学びになりました。
逆に私はBtoCのサイト改善を普段見かけないので、他の方のBtoCのサイト改善レポートがとても新鮮でしたね。
toCはコンバージョンの数が多かったり、繰り返しコンバージョンしてもらうことが大事だったりするからね。toBだと一度お問い合わせしてくれればそこからメールなどでクロージングにもっていけるというのは違うよね。
講座で聞けたビジネス処世術
講座で印象に残っているのは?
誰かからの質問で、クライアントへのレポートがどんどん多くなっていくのはどう対処すればいいかというのに、小川先生が「2、3ヶ月経ったらそっと抜けばいいんだよ、もし突っ込まれたら『あ、すみません、忘れてました』って言えばいいんだよ」と言っていたのがすごく印象的でした。突っ込まれなければそれでよいのか!たしかに!と(笑)
一同:(笑)
クライアントさんも気になる部分はどんどん言っちゃって、だからレポートも肥大化していっちゃうんだと。
結局は見極めが大事だよね。一時的に知りたい情報なのか、今後も継続的に知りたい情報なのか。KPIに関係あるものなら継続的に見ていけばいいし、その時の興味関心で知りたい情報ならレポートとは別に出しておくといいですよね。レポートを出した3日後に見せればワンショットで済むわけですし。これがレポートの中に入っていたら毎月出さなくてはいけない風になってしまうので、そこを切り分けると・・。
講座に通っているとそういう運用系のTIPSで、「なるほどー!」「たしかに!」というのが積み重なっていきましたね。他にも、毎週アクセス解析のレポートを印刷して、目を通してもらうために、社内のデスクの上に配るとかいうのも大事だなと思いました。
それはリクルートやサイバーエージェントにいた時にやっていましたね。毎月取締役会で報告する時に持ち時間が15分しかないけど、サイトはSUUMO、HOT PEPPER・・・と色々あるわけですよ。私は担当がSUUMOだったのですが、それだけでもレポート60ページくらいあるし、すべてを15分では説明できないじゃないですか。そこでサマリーシートに落とし込んで、詳細を聞かれれば説明しました。でも取締役会で本当にしたいことは、「ヒト・モノ・金・技術をほしい」ということなんですよね。例えば、「今こんなことに困っているんですけど、なにかアイデアないですか?」とか「他の事業部はどうですか?」ということを聞きたいので、報告にかける時間をなるべく済ませたいというのがありましたね。それを取締役会の場だけじゃなくて、みんなに聞いてもらえばいいじゃんと思っていて、でもレポートを添付しても送ったとしても「添付ファイル12MB」というのを見て、もう開かなくなるじゃないですか。
メールで送っただけだと見ないんですよね。
ゼッタイ見ない。だから本文に3行くらいで書いたり、社内にアンケートをとったりもしたんですよ。「このレポートを見ましたか?何があったら見ますか?」と。当時のSUUMO事業部150人くらいに送ったんですよ。それで6人くらいにインタビューしに行って、「このレポートはちょっと全体には入れられないから個別で・・」などフィードバックしながら進めてやりましたね。
DMAICのCのところでも話したと思うんですけど、全員が知っておかないと進まないんですよね。基本的な数値はどうなっていて、何が課題なのか。そういうことがチームに浸透していると話もしやすいというので、紙で配付していましたね。
認識してもらうってとても大事だと思っていて、送っただけだと見てもらえないんですけど、印刷して置いておいて、「今ちょっと機嫌がいいかな」という時に3分くらい話しにいくとスムーズですね。
最近だとオンラインなので、slackに画像をはって、見た人はスタンプ送ってねってやるといいよね。ファイル添付にすると開いてもらえないので・・。
認識してもらう努力って必要だなと。
認識してもらうとそういう数字を持っている人だなって認知してもらえるので、「あの人だったら知っているかも」って思ってもらえるとお互いに相談しやすくなるよね。
先生の話を聞いて、相談しやすい雰囲気や関係性を築いておくことって大事だなと勉強になりました。
以上、全3回の2回目となる今回は、宮川さんが提案型ウェブアナリスト育成講座を受けた感想や今のお仕事にどのように活かせていたかの学びなどを話しました。
次回はいよいよ最終回。キャリアアップについてざっくばらんに話しました!