HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。
第18回のお相手は、小川卓主宰の提案型ウェブアナリスト育成講座第7期卒業生でスピンスレッド株式会社代表取締役 砂子 智宏氏。全3回でお届けします。
※本対談は2022年4月に行われました。
対談のお相手
砂子 智宏
すなこ ともひろ
砂子 智宏 すなこ ともひろ
営業会社、雑貨小売店勤務の後、幼馴染との起業を経て、2019年スピンスレッド株式会社を起業。
主に中小企業に向けてウェブ制作を行うほか、ウェブで成果を出すための分析・提案も行う。提案型ウェブアナリスト育成講座7期卒業。
第3回 アナリストの自信はどうやって磨くのか
第2回では砂子さんが受けた提案型ウェブアナリスト育成講座について感想について話してきました。第3回では、提案型ウェブアナリスト育成講座の合否判定の基準から話が始まり、カリキュラムの変更や今後について、アナリストとしての自信の持ち方、料金設定について等を話しました。
進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報の井水(イミトモ)が務めます。
提案型ウェブアナリストの合否判定方法とは
小川:この講座の合否判定は悩むところなんだよね。二人に意見を欲しいんだけど、ある基準値があってそこに達したら合格にするのか、受講生が受講前と比べてどこまで変わったかで合格にするのかという二つがあって、どっちがいいと思う?私はどちらかというと後者で見る傾向があるんだよね。
井水:なるほど。
アクセス解析をある程度やっている方やウェブ解析士マスターの方たちがこの講座を受けに来ると、仮に基準値があるとしたら合格に近いラインからスタートするんだよね。でもまだあんまりアクセス解析をやっていない人も講座を受けに来るので、そういった方はまだやるべきことはあるけど、お客様には見せられるレベルになっているよね、というところで判定しちゃうとか。
あとは、他の会社で社内研修でやっているんだけど、プレゼンを15人分位みて明確に点数化しているんだよね。こういう内容が入っているか、しゃべっている内容と書いている内容に違いはないか・・とかね。どっちがいいんだろうねぇ?
砂子:そもそも私は後者じゃなくて前者だと思っていましたね。
この講座で成長できたかどうかを見るとしたら、そういう基準なんだよね。しっかり分析してきた方には細かいところにつっこみいれるし。でも基準をそろえるという意味では、点数のほうがわかりやすいなぁと思いつつ。
最初って面談するわけではない中、後者でやる場合って、受講者にどんなスキルがあるかわかるんですか?
今まで後者でやってきたっていうのと、セグメントで宿題もあるし、タグマネでもわかってくるんだけど、一番わかるのは設計書かな。そもそもどういうイベントをとるべきかを考える能力も必要だし、クラスや設定の理解も必要だし、イベントでとるのかカスタムディメンションで取るのかというのもあるので、設計書は受講者さんによって差が出るところかなと思いますね。
なるほど。
もちろん、選ぶサイトによって作りやすい・作りづらいっていうのはあるんだけどね。そういうところでなんとなく見えてくるかな。
砂子さんはどっちがいいと思います?
点数制の方がいいのかなと。点数制にすると現時点での自分の立ち位置が明確になるので、上位の人とどのくらい差があるのか、何が足りないのかなどが把握できて、その後の学びの際に具体的に取り組めると感じたことが一つ。もう一つは、各人がどれだけ伸びたかという点については、小川さんの客観的な視点があった方がもちろん良いと思いますが、分からなかったことが分かった・出来るようになったというのは、ある程度自分でも認識できるのではと思います。そもそも合格は通過点でしかなく目的ではないので、その後に実務で活かしクライアントに貢献できるようになるには、どちらの評価の方が良いか?という視点で考えると良いのかなと思いました。
なるほどね、井水さんはどう思う?
相対評価のほうが小川さんに見てもらっている感もあるんですけど、全体的な公平感を考えてしまいますね。例えば「この人が合格して、私が落ちた」という時に不満が生まれると思うので、その不満がつのらないようにするなら、後者の判定基準にするよと予め受講生に話すか、もしくは前者の点数制にするといいのかなぁと。
実は発表の後、駅まで何人かと「今日の発表はどうだった?」という話をして帰ったんですけど、その時に「あの人が不合格だったのは意外だったよね」という話があったんですよね。プレゼン内容に説得力を感じて、小川さんの指摘もなるほどだったんですけど、他の発表した方と比べると気づきが良くて、自分がお客さんなら収穫が大きいと感じるであろう方が、不合格にされていたので・・。
それは前者の判定基準なんだよね。人によっての成長具合というか。
そういうのは聞いている人もわからないとあれ?と思うのかなと。
わりとシンプルで、「ここがデータとして取得できていて、この人ならもう少しすることによって、もっといい改善提案が出てくる!」という場合は落とすことがありますね。あとは整合性があるかどうか。分析に基づいた提案ができているか。ここだけは譲れないので、出てきた改善提案がそれまでの分析と関係ない場合は、データをとりにいくか、改善提案を変えてもらうかしてもらっていますね。この点も卒業発表前のレビューである程度クリアできている事の方が多いんだけど、今までの受講生でいうと、事前レビューがなくてぶっつけ本番でくるケースもあったので、そうなるとその場でしか判断できないしギリギリまでやっていて直前で作ったというのはわかっちゃうし、私ならGAを見なくてもある程度わかるから、という時には指摘するかな。点数にするとそこの余白は作りづらいんだよね。
そうですよね。
逆にさ、点数がでると嬉しい?それなら出しちゃうけど。100点の内訳がこうで、プレゼンが25点で資料のレイアウトが15点で・・・っていう40項目くらいのがあるんですよ。
採点基準があるんですか?
今まで何社かやっているので。
それが見たいですね・・。
一同:(笑)
う~ん、どうしようかなぁ。ちょっと考えます。
カリキュラムの変更、GA4とデータポータル
第9期は発表が第9回、第10回じゃないんですよ。
そうなんですか?
第9期からカリキュラムが変わったんですよね。
コンセプトダイアグラムをなくして、最初にビジネスロードマップやKPIの話をやって、第2回、第3回からタグマネ・セグメントをやって、分析方法やって、レポートの作り方をやって、第7回、第8回で改善提案レポートをやって、その後に継続的な改善とで、データポータルをやる。だから今回から宿題が増えて、データポータルを作るという宿題が増えたんですよ。
私も学びたいです・・(笑) もう一回受けてもいいかなと思ったり(笑)
今回からGA4になるしね。
そしたら改善提案レポートはGA4でするんですか?
改善提案レポートで使うツールは何でもいいんですよ。第1期生の馬場さんはアドビアナリティクスでやっていたしね。
すごい。
レポートはツール関係ないじゃない?ただセグメントの所はGA4をベースに話すし、データポータルも結局GAが使えなくなるわけだからGA4のアカウントでするか、デモアカウントでするかでデータポータルを作ってもらうと。
いいですねぇ。
5月9日のGA4のセミナーでやるけどね。動画も出すし資料も出すしテンプレートも出すし。(編集注:講座は終了しましたが、7月に再演予定です)
データポータルのテンプレートってそのまま使えますよね?
そうそう、そのまま使えるヤツです。
なんと太っ腹!
私もその辺が入ってたから、これは参加しないとって。
テンプレートだけでも5万円の価値ありますね。きっと。
あれは提案型ウェブアナリスト育成講座と違って、受講人数に上限がないのでね。
オンライン・オフラインMIXだった第7期
提案型ウェブアナリスト育成講座の全体を通してどうでした?良かったことも悪かったことも。
オンラインとオフラインがミックスした講座を受講するのが初めてだったんですけど、すごくスムーズだったなと。
福田さんのおかげですね。福田さんって結構ホスピタリティ高く運営してくれるので。
福田さん、最後の提案の時に、卒業プレゼンのためのプレゼンになってしまったと悩んでいた時にこうすればいいよとアドバイスをいただいて・・。
福田さんも卒業生だからね。
全体通したら、すべてが学びでしかなかったですね。居心地が悪いっていうのは成長の機会だと思っていたので。
一同:(笑)
修行ですね(笑)
でも回を重ねるうちに慣れてきて、グループワークがあったのはよかったですね。同じチームの井水さんと河西さんとコミュニケーションがとれて。
コミュニケーションはコロナ禍もあって悩ましいんだよね。なかなか飲み会とかできなくてね。
河西さんは長野から車で通っていたけど、あの頃、長野独特のルールで来るのが大変そうだったなと。
コロナ禍前のマスクがない時期だと、グループワークもがんがんやって、第3回と第10回で飲み会やったりして交流していたんだけど、そこは継続的な課題ですね。さすがにまだマスク無しは無理じゃないですか。
私たちはハイブリッドになったことで、他のグループと話せなかったなというのはありましたね。
そうなんだよね、それで次の第8期にはチームを入れ替えたんだよね。セグメントが終わった後くらいのタイミングで。皆さんの反省ふまえて。五味さんからコンセプトダイアグラムは別だしの方がいいんじゃないですか?という話があって、じゃぁ9期でやってみようかという形で変えてみたり、結構取り入れています。
アナリストとしての自信
今回、講座を受ける時に、周りに「小川卓さんという第一人者の方の講座を受けているんだ」と話してたんですけど、そしたらデザイナーさんからアナリティクスでイベントの数値をとらなきゃいけなくなっちゃったんですけど・・と相談いただいて、実際に費用をいただいて実装したんですよ。少しずつペイし始めまして、今後もリリース前にそういう設定をお願いできますか?と言っていただいていますね。
(お金のジェスチャー)これね。まずは45万円まで回収しないと。
今は5万円くらい回収しました。もっと自信をつけてからって思ったんですけど、思ったより早くお金になりました。
自信は、経験からしかつかないよ。
そうですね。
自信がついてからと言ってたら一生できないから(笑) 引き続きアピールしつつ、今ならGA4の案件を一個とったらいいと思いますよ。5万円でも10万円でもちょっとでもいいからフィーをもらってね。そうすると、仕事だからやるじゃないですか。そしたら自信をもってアピールできるようになるので。
間違いないですね。
今GA4が入っていないウェブサイトがあるなら、ガンガンいったほうがいいですよ。昨年対比をとりたいなら、6月末まで!
そうですね。今少しずつ向こうから話がきたりで。GA4はまだ私もよくわかっていないですけど、小さなクライアントさんが多いので、そこのサポートをしていきたいなというのはありますね。
学べるのと、GA4のアカウントが入るのもいいですよね。私も手元に200サイトくらいあります。
思った以上に多いですね!!
砂子さんの挑戦
砂子さんの今後の話にいきたいと思うんですけど・・
4期目に入ってどうですか?
3期にBaigieさんの講座を受けてから、比較的大きな案件をできるようになって安定してきましたね。今後はチームを作りたいなと。
社員を雇ってチームを作るイメージ?雇わないで作るイメージ?
なんでチームを作りたいかというと、ずっと団体スポーツをやってきたので、一緒にやる喜びがあるんですよね。だからそういう方向に持っていきたいんですけど、この業界って在宅でできちゃうし、世の中的に難しいなと思っていますね。
そうだよね。
今のパートナーさんとも長いのでしっかり信頼関係はできているんですけど、厳密に言うと外注さんという立ち位置になるので、価値観を提供しても共感していただけるかもしれないけど、社員じゃないから押し付けるわけにはいかないですよね。自分が求めているのは、苦楽を共にするイメージがあるので・・・
そこは社員っていうイメージなの?
そうですね、多分?でもまだわからないですね。試行錯誤しています。
うんうん。
デザイナーさんにも、フィードバックがきて「こうしようか」っていう話をする時も相手の時間を頂いて打合せするので、気軽にはできないなと。外注さんではそこの距離は埋められないのかなと。
社内みたいにすぐ隣にきて「どうする?」とは話せないもんね。
その違いを大きいとみるかですよね。
今後1年、2年でコロナ禍が落ち着いた時に事業としてはどうなるのかな?こういうことやりたいとか。ジャンルも含め。
ベースは変えないと思いますが、サイトを作った後の売上に貢献したいというのがあるので、PDCAの時に分析の数値を活かして、拡げていきたいなと思っていますね。
会社としてこうなりたいっていうのは?
私は中小企業の力になりたいというのがあります。元々アナログ人間なので、パソコンもよくわからない中からスタートしているので、そういった方たちをお手伝いしたいという思いがありますね。大手さんや代理店さんと組んでやりたいとかは考えていないですね。
その中でも自分ひとりだと限度はあるから、人は増やしていきたいと。
そうですね。自分ができないところを特に。コーディングの部分も渡していってフロント側に立ちたいなというのはありますね。
なるほどね。
お見積りについて
そうそう、前回の川俣さんから質問がきています。
お見積の仕方、料金の決め方について。お客さんからサイトを作ってほしいと言われたときはどのように」料金が決まるんでしょうか?
サイトは、ある程度ベースを決めていますね。
時間で決まるの?サイト規模で決まるの?
基本的にはサイト規模やシステムの難易度によって決まってきます。ただ最近はどれだけクライアントさんに価値を感じていただけるか?も費用に踏まえて良いと考えているので、今後は価値も重視していきたいなと思っています。
それはサイトで期待できる売上規模とか?
例えばあるクライアントさんが制作会社さんとの関係性に苦労した経験があったとします。そういうクライアントさんからすると丁寧にやり取りしてくれる制作会社さんには価値を感じるはずです。その丁寧さも一つの価値だと思うので、「丁寧な接客費用」なんて項目は追加できませんが(笑)、各項目に上乗せすることは正しい価格設定であると思っています。そういった自社だからこその価値提供に挑戦していきたいと思っています。
お見積りの項目でいうと、設計やディレクションの項目と制作の項目とで分かれているんですね。
はい。
逆に成果報酬型って考えたことあります?
なくはないですけど、今のところはないですね。やってみたいですけどね。皆さんやっていないですよね?
うちはある意味やっているかも。毎月決まった報酬額を頂いてまるっとウェブ集客を担当させてもらっている会社さんがあるんですけど、最初はそこのウェブマーケティングを月額数万円でやっていたんですよね。それでも結構いい金額をお客さんがウェブから売り上げるようになってきたので、ウェブ経由の予約をここまで増やしたら報酬額をいくらに上げてくださいという交渉をして、こちらの業務量には基本的に依存しない価格交渉をしました。最初は弊社もリソースを割いて、オーガニック流入を増やして予約数を増やしたから報酬金額が上がって。それが何回か続いて、報酬額が以前の10倍近くになった会社さんがいますね。
それはやってみたいなと思っています。毎月定期的にお付き合いするところもあるので。ただ制作に関しては成果報酬は難しいのかなと。
うちも卒業生がやっているクライアントがあるんですけど、施策によってこれ以上の売上が上がらなかったら終わりねっていうところがある。上がればやりますっていう。
ある意味、合理的ですね。
月10万円とか15万円でやっているので、30万円以上上がったら大丈夫だよとかいうのはあるね。ある意味逆パターンだよね。
たしかに。
それで金額を上げる時とかはドキドキするの?
ドキドキしますね。
ざっくり換算するとどれくらい?時給でいうと。
時給でいえばまずは1万円を目指しています。サイト制作の見積もりとしては、以前はお金に対するメンタルブロックがかなりあって100万円はかなり高いと感じていたんですけど、今はブロックが徐々にはずれて200万円、300万円の見積もりも普通に出せるようになりました。
意外とこっちはわからないんだよね。同じGA4の実装でも、5万円が高いのか、50万円でも安いというところがあったり。その会社さんが金額に対してどういう風に考えるか次第なんだよね。
そうですね。
うちはほぼ時給で出していますね。
小川さんは10倍にしても仕事がきますよ。
10倍はさすがにドキドキしちゃう(笑)
上げていくに当たっては悩みますし、エイッっていうところは正直あります。
わかる。でも下げることは言い方を変えれば自分への言い訳でもあるんですよね。そこまでパフォーマンスを出せないかなと思うから下げちゃう。
価値を上げるとか価格を上げるっていうのは、自分への挑戦だと思っていて、現状維持とか安売りは楽だとも思っているんですよね。自分の首を締めちゃうからやりたくないんですけどね。
安くしていくと、だんだん矛盾を感じ始めてきちゃう。ここ5千円、ここ1万円なのに同じことをやっているの?とか。そうすると1万円もらっているところに申し訳ないなと思ってしまったり、5千円もらっているところは何も悪くないのに5千円だしなと思ってしまったりするから、気をつけないとなと思う。
たしかに!
本当に中小とかは厳しいので、GA4ガイドとかSchooとかでフォローしていって、その中で裾野を拡げる系のもので、ビジネスとしてやる場合はちゃんとした単価で私も設定していますね。
ーありがとうございましたー