アークランドサカモト 杉山健一郎 × HAPPY ANALYTICS 小川卓 対談(3)上場企業でデジタルマーケティング部門立ち上げのリアル

アークランドサカモト 杉山健一郎 × HAPPY ANALYTICS 小川卓 対談(3)上場企業でデジタルマーケティング部門立ち上げのリアル

HAPPY ANALYTICSの小川卓対談企画。第四回のお相手は、提案型ウェブアナリスト育成講座第1期卒業生で、アークランドサカモト(株)杉山健一郎氏。

全3回の最終回、提案型ウェブアナリストの杉山さんが同社でデジタルマーケティング部門を立ち上げする奮闘ぶりを伺いました。最後に動画も公開。

対談のお相手

杉山健一郎
Keichiro Sugiyama

アークランドサカモト(株)

アークランドサカモト(株)杉山健一郎
東京都出身、新潟へIターン。クリエイティブデザイナーを経て、2017年提案型ウェブアナリスト1期を修了。現在は新潟県本社のアークランドサカモト(株)でデジタルマーケティング部門の立ち上げを担う。

進行役はエスファクトリーウェブディレクター兼HAPPY ANALYTICS 広報の井水朋子が務めます。

 デジタルマーケティング立ち上げ当面の課題

井水
井水

今、杉山さんが取り組まれている課題や目標は?

杉山
杉山

デジタルマーケティング部門の立ち上げ自体で、まずは何をやっていくかというのを決めていますね。

小川
小川

ロードマップ的なものですよね。

杉山
杉山

今あるものの整理が結構大変で、サイトが16サイトと乱立していて(笑) SNSも散らかっているのをどうするかっていうのがありますね。ECサイトもあるんですけど別事業部っていう体系なので、ウェブの施策をするとしたら、インターネットへの送客というよりは、お店への送客ということになりますね。

小川
小川

ECの売り上げを上げるっていうのではないんですね。

杉山
杉山

それは別事業部で動いている感じです。お店での売り上げを上げるために、送客するために、どういう手法があってどういう風に効果測定していくのかっていうところで、今は、DMAICのDefineのところですね。どこがMeasurableで計測していくべきなのかを決めていかないといけないなというところですね。KGIはお店の売り上げですけど、KPIをどこの数字にするのか。

小川
小川

どれくらいのスピードとってね。なるほど。

企業風土のコンセプトダイアグラム!?

小川
小川

今ちょっと話を聞いていて思ったんですが、社員とか会社をこう変えていくっていうコンセプトダイアグラムを作ったらどうですか?

杉山
杉山

そうですね。

小川
小川

こういう社員になってほしい、こういう会社になってほしいっていうのを右下のゴールにして、左上のスタートはまだそれができていない状態と。どういう風に態度変容を起こせば、これが進んでいくのかと。

杉山
杉山

なるほど、事業部ごとに作る感じになりますね。

小川
小川

社員の何%がここまで動いたぞーとか。ITリテラシーじゃないけど、ウェブへの興味がどうとか、講座への参加人数とか。何か作れそうじゃないですか?(笑)

杉山
杉山

ちょっとやってみたいですね。また別会社も合流するかもしれないので、それをゴールに。 PVを上げていこう?

杉山
杉山

上長からはホームセンターのPVを上げていこうって言われているんですけど、ここ数か月はマスクで上がっているだけなんですよ。それを今のスタンダードにしてしまうと今後下がっていくだけなので、効果が出ないじゃんって言われるのが目に見えている。 数字って妙に説得力があるので、納得してくれることはすごく納得してくれるんですが、出し方を間違えるとスタンダードがそれになってしまって、それを今度変えるのが大変だなと。

小川
小川

だからちゃんと基準を決めないといけないしPVじゃなくて人数だったりとか、訪問数で見るとか。PVは一番大きくてわかりやすい数字だから取り上げやすくはあるんですけどね。

杉山
杉山

月間45万はあるんですけど、おそらく下がっていくだけかと。

小川
小川

トレンドを見ていくとか、45万の内訳が大事ですよとか啓蒙していかないと。そうそう、コロナの影響はどうでした?

杉山
杉山

かなりプラスになりました。営業時間を短縮せずにしました。巣ごもり需要っていうのと、マスクは品切れを起こさなかったんですよ。商品部のバイヤーさんの動きがかなり早くて、先手先手を打って、消毒液も結構入れられていたんですよ。なので、マスクと消毒系はかなり後押しになりましたし、おそらく巣ごもり需要のDIY系もあり、会社的には売上が良く、時間短縮しない中でパートさん含めみんなで頑張ったというので、慰労金や手当をいただきました。ただ、今後これをどうやって維持していくかですね。

小川
小川

目標設定が結構大変だよね。

杉山
杉山

実は、今年の3月以前のアクセス解析のデータがないんですよ。

小川
小川

えっ(笑)

杉山
杉山

変な話、バブル期のデータだけということですね。

小川
小川

本来の数字があれば、ベースとなる値があったはずだけど、コロナでバーンと上がったところからスタートだから、これって上がりようがないよねっていう感じだよね。

井水
井水

それはツライ。

杉山
杉山

どう改善してくって言われても・・。

小川
小川

いや、今がバブル状態です、みたいな。あとは落ちてくるのを、、、でも落ちるわけでもないんだよね。数字上は落ちるんだけど、ユーザー視点で見るのか、見ている商品の内訳でみていかないと、杉山さん的には困りますよね。

店舗送客の施策とは

杉山
杉山

26店舗ある中で、LINEの会員が5万人くらいいるので、そこをどう活かしていくかっていうのもありますね。

井水
井水

店舗送客の指標には使いやすいですよね。

杉山
杉山

直近で埼玉の久喜菖蒲店で、キャンペーンをした時に、LINEを軸に行ったんですよ。まず友だち登録すると、その期間だけに発行するクーポンを設定して、どういうキャンペーンでどういう人に出すかっていうのはGoogleアナリティクスのデータを基に、この人たちだけのために作ろうっていうことで、クリエイティブもデザインも振り切りました。女性だけのためにって。提案がきて、ちょっとこれ両方狙っているよねっていうのは全部切って、キャッチコピーも全部やってもらって、その結果、広告の配信自体は広告代理店の人にやってもらったんですけど、今までにない結果が出て、3週間くらいで友達数が2,700人くらい。毎日平均60人くらいで多い時120人くらいきて。

小川
小川

その数字を見るのって楽しいよね。

杉山
杉山

グラフがこうなったんですよ。(編集注:指数関数的な上昇傾向) それに合わせて、クーポンの使用率もよくなっていて、今までのMAXはお正月の割引クーポンだったんですけど、お正月のクーポンの5,6倍の使用率だったんですよ。

小川
小川

では内容も刺さったんですね。

杉山
杉山

店長さんに電話して聞いてみると、「続けられるんだったら、このままキャンペーン続けたいです」ということで。

小川
小川

その人も。。。

井水
井水

全然昭和な感じじゃないですね。

杉山
杉山

そこはGAのデータをキャンペーンに活かすのと、効果計測はLINEでやるっていう形で、そのテストとかモデルになったかなと。

小川
小川

1件そういうのができると、他で話しやすくなるしいいですよね。

杉山
杉山

店舗に行った時にアクションできるSNSということで指標にして効果計測していったり、配信したメッセージでどんな傾向のものが好まれるかっていうのをやったりしたいんですよね。ただ、LINEってDetaPortalがつなげないので、数十店舗あるのをどうしようかなと。

小川
小川

各管理画面にいって、集めてきてCSVで地道な作業をしないとと。

杉山
杉山

誰か作ってくれないかなと。

小川
小川

(笑)

井水
井水

LINEってCSVでダウンロードできませんでしたっけ。

小川
小川

できるけど、26店舗からダウンロードしてまとめて集計して一つの表にまとめてグラフにしてっていうので、数時間かかるイメージがありますよね。

杉山
杉山

その時間は・・。

小川
小川

使いたくないですよね。

杉山
杉山

見るべきなのは、どういう傾向なのかっていうところなので。満足しちゃうんですけどね。

小川
小川

わかるわかる、作業したぜーみたいなえ。

杉山
杉山

LINEの会社に電話して聞いたら、ないですって言われちゃって。

小川
小川

一応電話したんだ。

杉山
杉山

そういうところは行動派なんで(笑) LINE Developersというサイトを紹介されて、そこで今度相談してみようかなと。海外も探したんですけど、LINEって日本とインドと中国くらいで。スーパーメトリックスとかないんですよね。

小川
小川

ないですね。作ってくれないんですよね。

杉山
杉山

今僕はLINEのコネクタがすごくほしいです。

小川
小川

わかる(笑)

杉山
杉山

あとはLBMA( Location Based Marketing Association)というのを見つけたんで。

小川
小川

それ何ですか?

杉山
杉山

位置情報ベースのマーケティング協会で。

小川
小川

あ、協会があるんですね。

杉山
杉山

最近できたらしいですよ。先週末セッションやっていて、GMOとかからんでいて、今後位置情報を利用してどういう風にマーケティングしていくのかと。一応それに視聴登録していて、あとで録画登録したので後で動画見てみようと思うですけど、そのあたりも組み込めていけたらなと。

小川
小川

たしかに御社の場合は店舗送客がひとつのゴールなので、そっちのほうが伝わりやすいだろうし、成果が出るかもしれませんね。

杉山
杉山

あとは、店舗に専門知識が多いスタッフが多いんですよ。ホームセンター事業部にしてもアートアンドクラフト事業部にしてもリフォーム事業部にしても。店舗に行く理由っていうのをもう一度洗い出しつつ、自分たちの強みを見失っちゃっているんで、そこの価値観をもう一回作り直してもらって、じゃぁお客さんに提供できる価値はこうですよっていうのを店舗としてどう露出していきたいなと。

小川
小川

おぉ、いいですね。

杉山
杉山

じゃぁそれをどうやって計測するのかっていう話もあるんですけどね。

小川
小川

難しいですよね。(笑) でも着々と進めていますね。3年後にこうなっていたいとか、もうちょっと長いスパンみてどうなりたいとかありますか。

杉山
杉山

短いスパンになりますけど、来年9月に会社が再編するので、ホールディングス化すると言っているので、その時にどこが親になるかっていうのもあるんですけど、ビバ側もからんでくるので、5年後くらいの目標で、新潟県内で一番強いのがコメリさんなんですよ。3,500億。そこをちょっと抜きたいなと。

小川
小川

おー。ちゃんと売り上げに直結している目標でいいですね。

杉山
杉山

それが立てやすいかなっていうのと、変な話、今までデジタルマーケティングをやってこなかったので、これから上がるしかないじゃないですか。ポジティブに考えて、じゃぁどう上げていくかっていうのをひたすら考えていこうと。 あとは、デジタルだけでなく、せっかく他のデータも使える環境にあるので、ストコンの情報をもってきてスノーフレークとかあそこらへんとGoogleアナリティクスのデータを結びつけて、購買行動を立てていって、どんどん施策を立てていけたらいいなと。

井水
井水

すみません、スノーフレークって何ですか?

杉山
杉山

データウェアハウスといって、ストコン(ストアコンピューター)やPOSレジのデータが送られてきたのを全部格納できるやつです。

小川
小川

そうそう、色んな種類のデータを一か所にまとめて、横断で分析できる、いわゆるデータマートですね。別々でデータをとっているものを一括管理してデータを活用していくと。

井水
井水

そのサービスがスノーフレークと。

小川
小川

そうそう、クラウドのサービスですね。

杉山
杉山

合流した時にそこのデータも吸い上げられると。そこからスーパーメトリックスで出せるっていうのを最近気が付いて。。

小川
小川

そうそう、Deta Portalとかでレポートに落とし込めますね。

杉山
杉山

オフラインのデータとGoogleアナリティクスのオンラインのデータとアプリをつなぎこめるものは全部つなぎこんで、どういう風に見ていくかっていう事はやりたいですね。

小川
小川

いいですね、杉山さん個人の目標とかはありますか?

杉山
杉山

長期的な目標でいうと、いずれ小川さんと一緒に仕事したいですね。

小川
小川

いいですね、じゃぁ来週からしましょ(笑)

杉山
杉山

それくらい、小川さんを目標にしつつ、小川さんと同じ言語で会話できるくらいになりたいですね。

小川
小川

言語は一緒でしょ(笑) 今度やりましょ。

杉山
杉山

私自身の強みもつけていって、せっかく小売業というところで色んな知見を得られているので。

小川
小川

じゃぁ小売業の案件がきたら相談するわ(笑) 副業できるかわからないけど。

一同:(笑)

杉山
杉山

短期的なところでは、英語と統計学ですね。

小川
小川

なるほど、それはどうしてそう思ったんですか。。

杉山
杉山

統計的な面は、今後Googleアナリティクス以外のデータもつなぎこんだ時に、何をどうみたらいいのかってなってくるので、ちゃんと数字として意味を見出していきたいというところですね。やはり英語は、一応アメリカとかイギリスにいましたけど、ポッコリ抜けている部分があるので。。

小川
小川

こんなこと言うと怒られちゃうかもしれないけど、英語と統計学はみんなやりたいけど、なかなか手を付けられないって言いますよね。みんなはてなブックマークだけつけてやらないっていうね(笑)

一同:(笑)

井水
井水

いや~私もやりたいところです(笑)

小川
小川

みんなそう思っているんだよね(笑) 英語やりたいとかね。

杉山
杉山

英語は意外とまだ私聞けるなと思って。ちょっと話戻っちゃうんですけど、高校卒業の1月まで何をするか決めていなかったんですよ。1月になにかで出かけた帰りの電車で、「そうだ、アメリカ行こう」ってなって。

小川
小川

それって「そうだ、京都行こう」じゃないんだから、そんなカンタンに行く話じゃないですよね。ご両親もいるんだし。

杉山
杉山

うちは元々アメリカ好きな家系で。

井水
井水

そんな家系あるんですか!?

杉山
杉山

母親が沖縄出身なんですよ。

小川
小川

なるほど、外国人に接する機会が多かったとか。

杉山
杉山

小学校のころ、お小遣いが米ドルだったって言っていました。

小川
小川

それすごいね(笑)

杉山
杉山

日本返還前の沖縄に生まれておりまして。日本人かアメリカ人か選べっていわれて。日本人になったらしいです。

知り合いも多くて、小学校の頃は米軍基地に連れていかれたり、空母に連れていかれたりしました。小学校の頃は、冬休み前倒しでアメリカに行くぞ、ということで、通知表を先にくださいってうちの親が先生に言っていました(笑)

井水
井水

そんなのありなんですか(笑)

杉山
杉山

そういうわけで、アメリカには抵抗感がなくて、姉が向こうに留学していたんですよ。

井水
井水

アメリカのどちらですか?

杉山
杉山

ネバダ州です。

井水
井水

ラスベガスがあるところですね。

杉山
杉山

そうですね。リノからラスベガスまで、車で9時間くらいかかりますけどね。サンフランシスコから600kmくらい内陸にいったところですね。一応カジノの街だったんですけど、そこに姉がいたので、高校卒業後に行って、英語は全く意識していなかったんですけど、無理矢理話していたら覚えて。

小川
小川

また改めて英語の力をつけたいと。

杉山
杉山

やっぱり情報を入れるのに英語がスタンダードですし、幸いにも読む・聞くに抵抗感はないんで、会社でも英語の記事を読んでいて周りに「うわっ」て言われるんですけどね。

小川
小川

実際、英語の方が情報が早かったりしますからね。

杉山
杉山

今後、情報収集という意味で英語は必要ですし、自分が見た情報をきっちり判断するという意味で統計学で判断するっていうのと、最終的には小川さんと何かできたらなと。

小川
小川

すぐやりましょう。

杉山
杉山

プレッシャーが・・(笑) ダメだったらピンバッジ返さないといけないっていう。

小川
小川

ついでに蝶ネクタイちょうだいって言ったりして、それで自分でつけたりして(笑)

続きを読む >
ウエブル 増子愛 × HAPPY ANALYTICS 小川卓 対談 (1)
フリーランスから制作会社へ

関連記事